アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

小僧の卒業式

梅雨のように雨が降り続けた数週間でしたが、昨日から久々にお日様が戻ってきました

と同時に、いよいよ夏本番の暑~い空気が朝から漂い出し・・・ちょうど私の出産時期ぐらいには恐らく暑さもピークを迎えるでしょう

暑いクリスマスにももう慣れましたが、やっぱり趣はないな~と。今週末にはツリーを出して飾らなくちゃと思っていますが、汗をかきながらツリーを飾る姿にもあまり美しいものを感じないし

まして「師走」という言葉なんてホント忘れちゃいます。私的には年末年始はなんとなく厳かに、家族が集まって炬燵に入ったり、白い息を吐きながら初詣に行ったりして、静かな清い感じで過ごしたいのですが、アルゼンチンではワイワイガヤガヤとワイン片手にASADO(炭火焼き肉のバーベキュー)で盛り上がり、夜中の12時にはバンバン打ち上げ花火が上がり、ちっとも厳かじゃな~~~い。おかげで去年の年末も何となく”終われない感”が残ったんでした・・・。

さて、そんな行事が目白押しの12月。

ここアルゼンチンでは卒業式の時期でもあります。

我が家でも、ダーリンの年の離れた弟君ルーカス17歳が高校の卒業式を迎え、連日お祝いモードでした。特に姑のはしゃぎようは凄かった・・・。私は一外国人として今回の一連の卒業イベントを傍から見ていて、「へ~」とか「ほ~」とか「え~」とか思うことがたくさんあったんですけどね

まずは先週行われた、卒業証書の授与があるいわゆる”卒業式”。

日本のように校内では行われず、市内の豪華な劇場を借り切って行われました。もちろん親たちがお金を出して借り切るのです。学生も親族一同もスーツやドレスで着飾って集うため、ルーカスもスーツ一着新調してネクタイ締めて参加。

私は妊婦ということもあり、卒業式はパスさせてもらったのですが、なんかその話を聞いた時からちょっと「?」という印象はありました。なぜって、ルーカスの学校は一応公立高校。と言うことは、様々な社会階層の子弟がいるはずなんです。そんなお金のかかる卒業式なんかやって、全ての学生の家族がアクセスできるのかな~と思って。

そしてその疑問は夕べの卒業パーティで更に膨らむことに。

川沿いの素敵なパーティーホールを借り切って開催されたこの卒業ディナーパーティ、参加費はお一人様140ペソなり・・・。一人140ペソのディナーって言ったら、この町で庶民的な暮らしをしている私からすると、高級レストランでかなり思い切った食事した時の金額なんですがっ!こんな料金設定じゃあ、参加できないファミリーも絶対にいるはず・・・とますますびっくり。

姑はパーティの数日前から着て行くもののことで頭が一杯で大騒ぎ。そんな彼女を見て「またまた大袈裟な~」なんて余裕をかましていた私は、お腹もでっかいし、まあそこそこフォーマルに見える程度の服でいいやと思っていたんです。と・こ・ろ・が!実際に会場に到着し、人々の装いを目にした時の衝撃は大きかった!!そこでは、チョウチョみたいにきらびやかな人々が、ヒラヒラと夜の庭園を舞っていたのです

こーいうのを欧米文化って言うんでしょうか

印象としては、なんか全てが大仰な感じ。こんなシーンってアメリカ映画でしか見たことなーい。

だいたい私からしてみると、17歳なんて鼻ったれの小娘&小僧って感じだし、高校の卒業式なんてそんな一族郎党率いて祝いののろしをあげるほどのイベントとはとても思えないわけです。豪華すぎるパーティも大げさな卒業式も、まだまだ似合わないドレスもハイヒールもスーツもネクタイも「分不相応」という一言で叩っ切っりたい衝動に駆られます。鼻たれは、変に大人扱いせず、鼻たれらしく扱われるべし、と

まあね、15歳の女の子を「大人になったね」と祝う習慣のあるラテンアメリカでは、17歳と言えばもう立派に大人扱いされるのかもしれません。実際、ルーカスも週末には友人たちと連れ立って毎晩夜中に出かけて行き、帰宅は朝。そういういきがったお子様達のディスコ遊びに文句言いつつも結局お小遣いをあげる姑を見ていて、個人的にはすっごく抵抗あるんですけど、百歩譲ってそういうもんかと思うこともできる。

でも、なんでこんだけ社会格差がある国で、貧困層の子弟も通っているであろう公立高校のイベントがこんなにゴージャスじゃなくちゃいけないの?って疑問はどうしても残るわけです。経済的な理由で参加できなかったファミリーがいたとしたら可哀そうだな・・・。色んな場面で社会主義ちっくな制度を目にするアルゼンチンですが、卒業式に関しては、制服着て体育館で厳粛に執り行われる日本のお式の方が、よっぽど平等に皆のためのイベントになっているかもと思ったり・・・。

高価なディナーのメインは、チキン&ポテトとあんまり大したことなく、サーブも遅く、デザートを食べ終わったのは夜中の1時。私はでっかいお腹を抱えていい加減疲れ切っていたし、パーティー会場はディスコ化して、お祭り騒ぎはまだまだ続いていたけれど、いつも早寝のダーリンも「もう寝たいぃ~」と弱音を吐いていたので、二人で早々に帰宅しました。

色んな疑問は残ったけれど、一種の社会科見学としては面白い経験だったし、何より身長190センチの超美男子な我が家のルーカスのスーツ姿は、他の鼻たれ小僧達とは比較にならないぐらい素敵だったので(贔屓?)、良しとしましょう。

Lucas graduacion