アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

術後1ヶ月

今日でムスメの手の手術からちょうど1ヶ月が経ちました。でも、実はあまり良いご報告ができません。先週の木曜日に健診に行ったところ、皮膚移植した部分が駄目になったと判明したのです。

術後3週間以上も経っているのに血が止まらなかったし、皮膚があるように見えない箇所があって、何かおかしいと予感はしていたのですが・・・正直大ショックでした。移植した皮膚は湿気で駄目になったそうです。そもそも移植箇所が指のまたや間なので湿気がたまりやすく、しかも1週間雨が降り続けジメジメした気候が続いていた上、もともとムスメの手はいつもしっとりしているので、それも災いしたのかも・・・。

月曜、木曜が形成外科の健診日ですが、ちょうど2週間続けて月曜日が祭日で(アルゼンチンって祭日多過ぎなんですよ・・・)術後に充分なアテンドが受けられなかったのもあったと思います。日本では2週間してからギブスを外すと聞きましたが、こちらでは1週間で外していたし・・・と原因を考えるときりがありませんし、どれが決定打なのかも分かりませんが、とにかく予想外に複雑なことになってしまいました。

そんなわけで、先週木曜日からは通常火傷の治療などに使うというパッチを指の間に貼り、包帯ぐるぐる巻きで私達は一切タッチせず、昨日月曜日まで様子見となりました。これで少しでも回復しないようなら再度皮膚移植の手術をすると言われ、もう先週の木曜日は午前中泣き倒し、一日落ち込んで何も手につかず、ボロボロになっておりました・・・。

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本人は相変わらずママお手製のドレスを着たがってばかり。

この日は黒いスパッツとパーカーで合わせてみました。

こうして向かえた昨日の健診。4日ぶりにガーゼを取ってみたところ、良くはなっているとのこと。まだ出血する箇所もあるし、劇的な回復とは言えないまでも、皮膚のベースになる組織はできてきていると。ただしこのプロセスは非常に時間がかかるので、今週の木曜日に再度パッチを交換し、来週の月曜日まで様子を見て、医師達が必要と判断すれば再度皮膚移植をします、と告げられました。

私は、どれだけ時間が掛かろうとパッチだけで治せるならそうしたい。またあの泣き叫ぶ我が子を手術室に連れて行くという経験をさせたくないし、私自身したくない。なので今は、毎日祈るような想いでいます。

そんな事情の中でも、ムスメは元気に保育園とリハビリに復帰し、もう楽しくて嬉しくて仕方がないと、全身から元気200%オーラを発しています。リハビリに戻った初日にいたっては、トレーニングルームから出たがらなかったほど(笑)。保育園の皆からも、お休み中に素敵な贈り物をいただきました。それは、ムスメへクラスのお友達が描いてくれたお絵描きを先生方がまとめてくださったもの。保育園へ復帰した日には、お帰りなさい会と題して、皆でお庭でピクニックまでしてくださったそうです。

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これがクラスのお友達からの素敵な贈り物。

表紙にはムスメの写真も貼ってあって、この嬉しそうな顔!

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中を見る目は真剣そのもの。みんなの気持ちがこもっているもんね。

今回パッチをつけることになり「絶対に手をぶつけないよう、濡らさないように」と医師達に言われ、また休ませることも一瞬考えましたが、これだけ長い間家に閉じこもっていたムスメ、そして復帰してとても幸せそうな我が子を見ていて、通わせ続けることに決めました。またこの先、再度手術ともなれば休ませないわけにはいかない日が来るはず。だからせめて今だけは行かせてあげたいと、ムスメの付き添いのラウラにも説明して納得してもらいました。彼女は責任が重過ぎると最初は難色を示していたので・・・もちろん、彼女の立場からすればそう思うのも当然です。

どんな手術でも侮れないと思ったのは本当でした。私の力でもどうにもできない。それでも、ムスメはいつもどおりニコニコ明るくて・・・本当に信じられないです、この子の強さや朗らかさが。

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久しぶりに着た保育園のユニホーム。

家に帰ってきてからもなかなか脱ぎたがらず(苦笑)。

そんなムスメを今日も保育園へ送って行き、その帰りに近くの大型スーパーの中にある自然食品のお店に立ち寄りました。このお店のオーナー、カロリーナは私と同い歳ぐらいの女性で、いつも明るくて大らかで気前が良くて、そしてとても敬虔なクリスチャンらしく、ムスメの手術の時も仲間と一緒にずっとお祈りしてくれていたそうです。私は何の信仰も持たない人間ですが、こうした周囲の人たちの気持ちはいつもありがたく思ってきました。

そんな彼女にムスメの術後の経過について尋ねられ、再手術の可能性があると話すと、こんなことを言われました。

「100%無条件の愛って、母親の子に対するものとよく言うけれど、本当はそうじゃない。だって私もそうだけれど、母親って子供に色んなことを求めたり勝手な期待をしているものだもの。だから本当の無条件の愛ってね、障害を抱えるお子さんを持つお母さんにしか芽生えないものなんですって。」と。「あなたを見ていると、その言葉がよく分かるとずっと思っていた」、と・・・。

今日は朝から雨模様で、スーパーを出て直ぐに傘をさしましたが、その広げた傘で顔を隠しながら、家まで泣きながら歩きました。カロリーナの言葉が胸に響いて、嬉しいとか感動したとか、そういう言葉では説明できない気持ちで胸が一杯になって、一人雨の下、ボロボロ泣きながら歩きました。

私には、我が子を無条件で愛するという特権が与えられたんだ。そんな素晴らしい経験をさせてくれているムスメに、そしてムスメが私のもとに生まれてきてくれたことに、改めて深く深く感謝しながら。

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