アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

素敵な贈り物

8月にいくつかあったイベントを忘れないうちに書き留めておこうと思ったら、もう9月!

8月と言えば、ワタクシの誕生日がありました。日本にいたころは家族や恋人とお祝いしていましたが、ラテンアメリカで暮らし始めてからはフィエスタを開いて友人たちと賑やかに過ごすのが誕生日の習慣になっていました。ところが今年はなぜか最初から「誕生日は家族と過ごす」と心が決まっていました。なんでかな~。

特に姑とは絶対に自分の誕生日を祝いたくはない、という固い固い信念(笑)まであったはずなのに、今年はそれすらも許せるほどの心境の変化。ダーリンに「今年はどうする?」と尋ねられ、「家族でお祝いしてもらえたらそれでいい」と即答した私に、彼もびっくり仰天していました。

この心境の変化はもしかすると、根無し草で超個人主義だった私が、この家族の一員としての自分を受け入れ家族単位で動くという発想に慣れてきたからかもしれず、私的にそれがなんとなく新鮮で、少し嬉しくもありました。

ここアルゼンチンでは8月の第2日曜日が子供の日です。今年はそれが私の誕生日の2日後だったので、日曜日に我が家の4人と姑、ダーリンの弟のルーカスと彼の恋人とで集まり、アサード(アルゼンチン焼肉)をしてお誕生日と子供の日を同時に祝いました。

ケーキも手作りしようかと思っていたけれど、直前になってルーカスの彼女が作ってくれるというので止めました。が、そこはやっぱり、料理をしたことのない20歳の女の子の作るもの。これって・・・ケーキなのかっ???と素朴に疑問に思うものがテーブルにどーんと出され、一瞬目が点に(爆)。いいんです、いいんです。気持ちが嬉しいから。でも写真はいっか~と思ったので、写真なしです。

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子供の日のプレゼントにもらった粘土とアニマル型のセット。最近、動物ブームのヒト。

実はこの日の前日、とても素敵な贈り物を受け取りました。それはこの土曜日の夜、R市で上演されたアルゼンチン人の有名な男性バレエダンサー、エルナン・ピキンのチケットでした。プレゼントしてくれたのは、なんとピカ(セドリックのママ)とセドリック

元々ピキンの公演には、バレエダンサーを目指すセドリックも行きたがっていました。そこでピカはセドリックへの子供の日のプレゼントに彼に入場券を買い、更に私とセドリックが二人で観に行けるようにと、私の入場券の半分はピカが、もう半分はセドリックが(!)支払って贈り物にしてくれたのです。

土曜日の夜はセドリックも早々にお風呂に入ってきれいに髪を梳かし、珍しくこぎれいなジーンズ姿でお出かけ準備万端!私も久しぶりにニットのワンピースを引っ張り出し、二人してちょっとお洒落して夜8時半にデート(!?)に出発しました。道中興奮するセドリックがしゃべり倒し、劇場についてからも彼の弾丸トークは続き(爆笑)、そろそろ聞くのも疲れてきた~というタイミングで幕が開きました。

プロのバレエ公演なんて本当に何年ぶりに見たでしょうか。しなやかなダンサーたちの体に感動し、神業のような動きにため息を漏らしていたのも束の間、、、はっと気がつきました。そうだ、この公演は、伝説のミュージシャン、フレディーマーキュリーをテーマにしていたのだった!と・・・・・。

物語が進むにつれて、演出がフレディーの音楽家としての一面よりも、彼がゲイでエイズが原因で亡くなったことに焦点を当てたものだとはっきり分かりました。女装した男性ダンサーとのきわどい絡みも数多く、個人的にはわくわくしましたが、当然気にかかるのは隣に座る10歳の少年ですっ(爆笑)!!ゲイの友人も多い私には全く偏見はありませんが、こ、これは、果してセドリック向きの作品であっただろうか・・・???と一人頭を抱えてしまいました。

何しろこの入場券のプレゼントが突然だったもので、公演の内容をあまり把握していなかった私も私ですが、でもチケットを買ったピカは当然作品の内容も分かった上で判断したのだろうし、ま、いっか~と途中で心配するのは止めました。しかしナルホド、待合ロビーに中高年の女性ファンが多かったわけです・・・。

盛大な拍手を受けて幕が閉じ、出口に向かう観客たちの波にもまれながら、「どうだった?面白かった??」とセドリックに聞いてみたところ、「うん。まあまあ」との答え。いつもの飄々とした態度で、特に何を気にする風でもない彼に少しほっとしましたが、帰りのタクシーの中ではお互いに無口でした。

夜遅くて疲れていたのもあるけれど、彼がどこまで何を理解したのかがイマイチ分からず、舞台の詳細についてぺちゃくちゃお喋りするのはやっぱり少し難しかった。それに、上演中流れ続けたクイーンの曲が私にはとても懐かしかったけれど、そんな想いを共有するにはセドリックじゃちと小さ過ぎました(笑)。

後日ピカと話したところ、実はピキン本人もゲイで、今回の公演を最後に引退を表明しているとのことでした。最近では彼の性癖について面白おかしく書き立てるゴシップ誌などもあり、少々辟易していた彼が引退公演に敢えて選んだのがこの作品だったそうです。ピキンが最後に観衆に訴えたかったもの、胸を張って主張したかったものを観られて良かった、と私は思ったし、それを騒ぎ立てることもせずに冷静に観ていたセドリックはやはり、同世代の他の子供と比べても老成している部分があるのかもしれないと改めて思いました。

セドリックももう思春期の入り口に立っているし、この先はそうそうデートなんてしてくれなくなっちゃうかもしれないから(笑)、この週末の夜のデートは貴重だったかも。いつかセドリック本人の公演が見られる日が来るといいな~・・・なんて思った、忘れられない誕生日となりました。

おまけ

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先日姑が突然買ってきた子犬のテオ、生後1ヶ月。我が家のちびっこたちのアイドルになりました。

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ちびっ子大集合の図。セドリックとお友達のフランコ君、そしてテオの写真を携帯で撮影するムスメ。

みんなにかまってもらえて、テオも大はしゃぎ。