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アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

お気に入りショートアニメ3作品

最近、自在に私のi padを使いこなす娘の横で一緒にyoutubeを観ながら、ショートアニメの世界にはまっております。そこで見つけたお勧め3作品を、少し早いクリスマスギフトとして皆様にお贈りします。

 

 

まずは『Mariza the stubborn donky』。とっても人間臭いロバとキュートなおじさまが主役の、軽やかな音楽が耳に残るハイセンスな小作品です。ラストのおじさんの表情に、私は何度も腹を抱えて笑い転げました。

 

 

調べてみたところギリシャ出身のアーティスト、Constantine Krystallisが、シドニー・テクノロジー大学在学中に卒業制作として2008年に作った作品とのこと。ギリシャと聞いて、この作品の舞台になっている青い海に納得。彼は現在ではアテネのコンピューターゲーム会社でビジュアルエフェクトアーティスト、アニメーターとして勤務しているそうです。

 

我が家では家族一同、ラストのおじさんの呆然顔に声を上げて笑い倒しましたが、いかがでしたか?情けない顔でロバが手渡すラジカセを、ポチッと押す瞬間のおじさんの和やかに達観した表情もま良くて、観た後にすがすがしい気持ちが残る可愛らしい作品です。

 

 

お次は『Brat』。まずは見てみてください。

 

 

この作品、短いのに凄いパンチじゃないですか??私は最初見た時にがーんと結構な衝撃を受けました。何に?って、この女の子の表情の凄さに。この子の少し意地悪な顔、感じの悪い表情って、誰もがどこかで目にしたことのある”意地悪な大人”の顔ですよ。大人を真似て育つ子供たちが、いつの間にか真似しちゃったという凶悪な顔つきの数々に、なんだかショックを受けちゃったんです。怖いことです。小さな世界で強大な暴力を振るう少女の姿に、ムスメもじーっと黙って見入っていました。

 

作者はカナダ、バンクーバー出身のTania Simeons。この作品は彼女がバンクーバー・フィルム・スクール在学中に作制しています。学生の課題でこのクオリティーって凄い!現在ではアメリカのソニー・ピクチャーズ・イメージワークスで『きかんしゃトーマス』シリーズなどを手がけ、アニメーターとして第一線で活躍しているようです。

 

 

最後にもう一つ、『Alma』。映画並みに完成度の高いショートアニメです。

 

 

ファンタジーでホラー。素敵にヒヤッとするでしょ~!自転車の男の子がギー、バタン、ギー、バタンとペダルを漕ぎながら何度もドアに体当たりして、必死に外へ出ようとする姿が印象的で、後からじんわりと怖くなります。両手ともに手袋をしていたはずの人形が、少女の魂を取り込んだ後には片手だけしか手袋をしていなかったりする小業は、人形たちの小さな目の動きのごとく巧みに作品を膨らませる手助けをしています。

 

作者はスペイン出身のRodrigo Blaasで、2009年の作品。彼自身はピクサー・アニメーション・スタジオで『カールじいさんの空飛ぶ家』『ウォーリー』『ファインディング・ニモ』などの制作に関わるアニメーターとして活躍中。ちなみに”Alma”は女の子の名前としても使われますが、スペイン語では”魂”の意味です。う~ん、意味深だねぇ。

 

更に色々と調べていたら、2010年にドリームワークスがこの『Alma』に目をつけ、作者であるRodrigo Blaas(ロドリゴ・ブラース)が監督・脚本としてメガフォンを取り劇場版を制作することに決定した模様。プロデューサーはなんとあのGuillero del Toro(ギジェルモ・デル・トロ)だそうな!びっくりだけど、作風を考えるとなんだか納得~!!

 

ギジェルモ・デル・トロと言えば、メキシコはグアダラハラ出身の脚本家、監督で、国際的に活躍するメキシコ人監督、Alejandro Gonzales Iñaritú(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/『バベル』監督), Alfonso Cuarón(アルフォンソ・キュアロン/『ゼロ・グラビティ』監督)と共に配給会社Chachacha Filmsを創設した監督の一人。『パンズ・ラビリンス』ではその禍々しいファンタジーで世界を魅了し、第79回オスカーでは同作品で6部門ノミネート、3部門(撮影賞、美術賞、メイクアップ賞)受賞を遂げ、ファンタジーのヒットメーカーとして広く認知されています。

 

この作品がトロのプロデュースの下、どんな風に長編化されるのか楽しみですが、ドリームワークスの作品になるなら、この短編のようにブラックな終わり方はせずにハッピーエンドになっちゃうんだろうなぁ、と思うと少々複雑です。ブラックだからこそ心に残る余韻があるように思うんだけどな。

 

 

 

ショートアニメ3作品、いかがだったでしょうか。台詞がなくても胸にずんと響く表現力、音楽や小さな顔の表情までこだわったハイクオリティーな世界に、私同様はまってしまう方もいらっしゃるのでは??

 

それでは皆様、楽しいクリスマスをお過ごしください。