アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

子供たちの夏

昨年12月中旬から始まった、長い長い子供達の夏休みがようやく今週終わりました。本当は3月2日の月曜日から始まるはずだった学校は、アルゼンチンならではの学校教師労働ストで今年もまた始業日が2日遅れましたが、水曜日から登校開始となり、ムスメも無事プレスクールへ通い始めました!(詳細はまた後日)

 

それにしても我が家の11歳のセドリック、夏休みは3ヶ月近くもあるのに、学校の宿題は一切なしで本当にビックリ。彼が夏休みにした勉強って、親に言いつけられてイヤイヤやっていた1日15分間の作文だけ(国語が弱点なので)。算数は得意で、算数オリンピックでは県大会まで行った癖に、先日は簡単な引き算すら間違えていました、、大丈夫かな(汗)。

 

こうして当然のことながら、子供達は昨年中に学んだことをあらかた忘れているため、新学期になると授業内容は数ヶ月の間復習なのだそうです。ただでさえ1日たったの3時間半と短い学校生活なのに、こんなことで一体どれだけのことが学べるのか、正直見ていてかなり不安になります。

 

一般のアルゼンチン人(大人も子供も)がリコーダーを吹けなかったり、お裁縫ができなかったりするのも当然。授業のコマ数が少ないので、例えばセドリックの学校では家庭科なし(これは多分どこの学校でも)、音楽、美術の授業もほんの少ししかありませんし、体育は学校の時間外にやります。

 

セドリックが雑巾の絞り方を知らなかったことに当初衝撃を受けましたが、清掃時間もないので、ある意味しょうがないのかもしれません、、、。こうして単純に比較してみると、日本の学校は給食を含め、相当色々な”学び”を網羅している印象です。お休み中の宿題もがっつりあるしね。

 

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さて、とにかく夏休みの間は育児に追われ、全く自分の時間が取れなかったワタクシ。いつもに増してブログの更新も滞っておりました。夏ならではの事を色々と書きたいと思っていたのにぃ。絶対に外せないことを2つだけ、少し振り返って書き残しておきます。

 

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その1.初めてのサマースクール

 

夏休みがこんなに長いこの国では、子供達が退屈しないように&親たちが子供の面倒に忙殺されないようにとサマースクールなるものがあり、両親が共働きの子供達を中心に、多くの児童が月曜から金曜までの午前中通います。

 

先日のブログでも少し触れましたが、我が家のお嬢さんも夏の間はどうしてもママと四六時中べったりになってしまい、せっかく自立を始めた矢先によろしくないし、3ヶ月間息抜きの全くできなくなるママにとってもそれはハードなので、この夏遂にサマースクールに通わせることにしました。

 

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スクールの先生たちとお友達。皆に可愛がってもらって本当に良かったね!

 

私たちが選んだスクールは、我が家の目の前の例のカントリースポーツクラブのもの。何しろ近いので、何か起こっても飛んでいける距離というのが一番の魅力でした。スクール料金は一月8000円ほど。時間割は8時45分から12時半ごろまでです。活動内容は、朝一番にレクリエーション、10時半ごろにオヤツ休憩、その後は大抵プールに入り、着替えて終了という流れです。

 

ムスメを通わせるには同伴者がいることから、幾つかの手続きを踏む必要がありました。まずはカントリークラブ宛てにレターを作成し、①ムスメは障害を持っていること、②同伴者が必要であることを説明しました。レターには障害者認定書のコピーと、「ムスメにはレクリーションやスポーツが必要である」と書かれたリハビリセンター長のレターを添付し、サマースクールへの通学許可申請をクラブ事務局に提出しました。

 

この申請に対し、クラブの対応はびっくりするほど親切でした(感涙)。曰く「障害児を受け入れることに全く問題はなく、大歓迎である。もしもサマースクールの時間帯以外にも同伴者と共にクラブに入場する必要があれば、同伴者の入場料は全て無料。他にも娘さんに必要なことがあれば何でも相談して欲しい」とのこと。この暖かい回答には本当に感動しました。

 

こうして晴れてサマースクール通学が決定!!今年の夏はまた、週に3日だけ付き添いさんを雇うことにしました。ムスメが通っていた保育園で普段は先生をしているジョア28歳が快く引き受けてくれたので、火木金はジョアと、月水は私と一緒にスクールに通うことになりました。

 

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付き添いのジョアナ先生と。この嬉しそうなお顔を見てやってください!

 

さて、スクール初日の月曜日。ムスメのグループには3歳から5歳までの女の子が40人ほどいましたが(男の子は別グループ)、予想通りこの40人全員がムスメを見て口ポカーンの硬直状態&凝視!!その後、「この子どうしたの?」「首についているのは何?」と付き添った私は一同から質問責めに遭うことに、、、(笑)。でも、ムスメの容姿に対してネガティブなコメントを口にする子が一人もいなかったことが印象的でした。

 

尋ねてくる子供達一人一人にできるだけ丁寧に答え、一通り全部の子と話した頃、ようやく皆が落ち着いてくれました。二日目以降はおやつを一緒に食べようと誘ってくれたり、プールでおもちゃを貸してくれたりするお友達もでき、ムスメも徐々にスクールに慣れ、毎朝通うのを楽しみにするようになりました。

 

それでも、手を繋いで輪になるときや、前の子の肩に手をかけて”電車”で移動する時など、ムスメの隣になるのを避ける子もいました。母としてはそんな場面を目にする度に胸が痛み、ムスメの反応を心配するばかりでしたが、付き添いのジョアは「先生」という立場で参加しているので、ムスメを避けたお友達を呼び戻し、ムスメとどうやったら上手に手を繋げるかと説明してくれたそうです。そうするとお友達も納得してムスメと手を繋いでくれたという話をジョアから聞き、やはり母親ではない第三者が付き添って行くことは大事だな、と改めて思った次第です。

 

また、ムスメのグループの3、4歳児など、ムスメよりもずっと小さい子が一人でおトイレに行けたり、水着に着替えたり、おやつを自分で用意して食べられたりできる姿が私には新鮮でした。ムスメの肘が曲がらない障害は、日常の動作をことごとく難解なものにしているため、将来的にどう自立させられるかが大きな課題となっています。今はまだ5歳なので親の同伴も嫌がりませんが、もっと大きくなったらそれも嫌でしょうし、精神面のケアも含めて対策を練らなければならないでしょう。

 

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最初は怖がって入りたがらなかった大きいプール。

 

ともあれ、初チャレンジのサマースクール通学は大成功!大勢の子供達と一緒に入るプールも、最初は怖がって嫌がっていましたが、お友達や先生たちに声を掛けられ、段々慣れて入れるようになっていきました。

 

スクールの最終日にはオヤツの時間に先生方に差し入れをして、私も一緒にマテ茶を飲みながらお喋りしましたが、みなさん本当にいい方達で、ムスメを迎え入れたことはとても良い経験だったと口を揃えておっしゃってくださいました。お別れの時には涙を流してくれた先生もいらして、、、後から知ったのは、この先生の甥っ子さんも障害をお持ちだったのだそうです。特別な愛情を注いでくださる方だなぁ、、とは思っていたのですが。

 

ムスメはマウラちゃんというとっても仲良しのお友達もできて、毎日本当に楽しそうに通ってくれたし、良き人々にもまた巡り会えて、母子ともに素晴らしい思い出ができました。この経験をバネに、新しい学校へも臆することなく通ってくれたらいいな。

 

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仲良しになった4歳のマウラちゃんと。この夏は滑り台も一人で滑れるようになりました。

 

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その2.ムスメのお誕生会

 

夏休み後半の2月22日には、1ヶ月遅れのムスメの誕生日会を開きました。開催を1ヶ月も待ったのは、1月20日のお誕生日前後だと夏休み真っ最中で誰も町に残っていないから。私も8月16日のお盆生まれなので、お誕生日の時にはお友達がみんな田舎に行っていて誰も残っていなかったことを思い出します。

 

既に何回かブログにも書きましたが、こちらの子供のお誕生会はやたら盛大です。パーティー会場を貸し切り、ケータリングの食事を子供用、大人用と用意し、子供達を遊ばせてくれるお姉さんたちを雇い、フェイスペインティングや仮装やゲームやボールプールで3時間のパーティーをノンストップで駆け抜けます。

 

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お誕生日用のピニャータを作成中。なにやら真剣です。

 

子供達が遊び倒している間、大人達は座って飲食しながら歓談。ケーキが登場してハッピーバースデイソングを歌う段になると、全員が集まって合唱し、写真撮影をしたり、切り分けたケーキをもらって食べたりしてパーティーは終了。帰宅の際には主催者側が用意したプレゼントのお返しの”Sorpresita(びっくり袋)”を受け取ります。このびっくり袋には大抵キャンディーやキャラメル、ちょっとした小物が入っていて、遊び疲れた子供達はお菓子を頬張りながら帰途につくというわけです。

 

これだけのことをするので、当日までの準備も相当大変だし、出費もバカになりません。本格的にやるご家族は、毎年パパとママのボーナスが全額吹っ飛ぶと言っていました(!!)。会場を借りるだけでも3万円ぐらいは掛かるし、招待客数にもよりますが、ケータリングも2万円ぐらいは当たり前。ケーキも名前入りだったり、お気に入りのキャラクター入りだったりすると1万円はくだらず、更に飲み物、びっくり袋に入れるプレゼント、飾り付けの風船やポスターを用意しなければなりません。

 

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3年間お世話になった保育園の中庭にて。

 

平均所得が日本の比じゃなく低いこの国で、なぜこれほど大々的な誕生日会を開く必要があるのか、、、正直謎です、、、、。

 

こうした大げさな誕生会に多少の抵抗もあり、我が家ではこれまでムスメの誕生日は自宅で友人たちを招いて祝ってきましたが、今回は3年間通った保育園を卒業するタイミングだったので、これまで仲良くしてくれたお友達を招待客したいと考えていました。かと言って、パーティー会場を借り切るほどのことはしたくない(予算もない)と躊躇していたところ、今では私の親友となった保育園の園長先生でありオーナーでもあるナタリアが、保育園をパーティー会場にして日曜日にお祝いしようと提案してくれました。ありがたい〜!

 

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手作りの仮装衣装で。子供ってこんなに簡単な仮装でも大興奮してくれるんですねぇ。

 

4人の子供を育て、更に保育園を取り仕切るナタリアはお誕生会のノウハウにも精通していて、びっくり袋の中身にするキャラメルや小物を売っている卸業者に連れて行ってくれたり、ケータリング業者に連絡してくれたり。彼女には本当に何から何までお世話になり、たくさん勉強させてもらいました。子供達を遊ばせてくれるお姉さんには、保育園で身体表現を担当していたセシリア先生にお願いしました。ムスメの障害もよくご存知なので、無理なくできる遊びを提案してくれるはずと期待していましたが、これが大正解でした。

 

当日は子供20人、大人24人が集まり、日曜の午後6時から9時までワイワイと楽しく過ごしました。子供達は輪になって遊んだり、仮装したり、泡スプレーを掛け合ったり、ピニャータを割ってキャラメルを取り合ったりして大騒ぎでした。ムスメも、初めて自分が主役の誕生会を経験し、自分のためにお友達が集まってくれることが嬉しかったみたい。パーティーが終わり、皆が帰って行く時には、一人一人のお友達にびっくり袋を渡し、ハグ&キスでお別れしました。

 

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一人一人ピニャータを叩いて割ります→中からお菓子が降ってきて争奪戦に。

メキシコでは欠かせないアイテムですが、アルゼンチンではこういうタイプのピニャータは珍しいかな。

 

いや、ムスメが本当に一番嬉しかったのは、普段ダメと言われている大好きなコカコーラが沢山飲めたり、あんまり買ってもらえないポテトチップスが際限なく食べられたりしたことかもしれません(爆)。いずれにせよ、1年に一度だけの”自分の日”を楽しんでくれたなら、母の苦労も報われたと言うものです。ムスメや子供達の笑顔を見て、大変だったけど、やって良かったと思いました。この日だけで、私は1キロ痩せましたが、、、。

 

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ダーリンのお友達が作ってくれたお姫様付の可愛いケーキに、会場中からため息が。

 

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子供のお誕生会が夜9時までというのに驚かれた方も多いのではないでしょうか。そう、(うちの子は誰も寝てくれませんが)一般的にはシエスタの習慣があり、夏の間は夜8時過ぎまで明るいこの国では、子供達も皆が宵っ張り。セドリックのお友達が家に遊びに来ても、親御さんが迎えに来るのは夜の11時(!!)なんてこともありました。スポーツクラブに行っても、夜の闇の中、子供達が滑り台で遊んでいる光景が普通に見られたり。

 

だから夏休みの間、子供達は宿題の心配もせず、夜遅くまで遊んで朝遅くまで寝ている。早寝早起きで育てられた私からしたら、なんて躾のなってない、、、!!と思ってしまう習慣ではありますが、ある意味のびのびしていて、本当に休みを謳歌しているとも言えます。ところ変れば、、、とは正にこのことですね。同じような習慣のあるスペインなどでも、深夜まで子供たちが道端で遊んでいるとか。

 

夜遅くまで付き合わされる親としては悲鳴をあげたい時もありましたが(とっとと寝ろ〜!と、、)、うちのお子様たち二人も夏を満喫してくれたかな。

 

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