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アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

ムスメ5歳

去る1月20日、ムスメが5歳の誕生日を迎えました。

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ダーリンのお友達が作ってくれたケーキ。派手なケーキはこちらのお誕生日の定番!

お誕生日当日の朝は、この夏から通い始めたサマースクールに特大ケーキを持参して、お友達や先生たちにハッピーバースデイソングを歌ってもらって幸せ一杯でした。場の主役となったのが恥ずかしくて照れ臭くて、今年もロウソクが吹き消せなかったのもご愛嬌。来年こそはふーっと元気に吹き消して欲しい!

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やや緊張気味(笑)?でも本当はとっても嬉しいヒト。

それにしても5年という節目を迎え、あのひ弱だった赤ちゃんがこんなにひょろっと背の高い少女になっていることが、なんだかとても信じられない気分です。この5年間はムスメが自然に育ってきた月日と言うより、合計して13回もの手術に耐え、沢山の痛いこと、辛いことを我慢して、明るく頑張って乗り越えてきたムスメが自らの手で掴み取ったもののように思え、その過程を見守ってきた私も誇らしい気持ちです。

手術や治療によって、またムスメ自身の成長から、ゆっくりでも出来ないことが一つずつ出来るようになり、カテーテルとか胃ろうとか体に付いた余計な物が取れて少しずつ自由になってきました。気がつけば、身長111センチ、体重16.4キロの立派なお嬢さんに様変わりしていました。

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お庭のアガパンサスと。花も我が子も本当におっきくなって・・・母感無量。

お陰で私も以前よりずっとリラックスして子育てができています。誕生当初、アルゼンチンのアペール症の会の先輩ママ達に「時が経つにつれ楽になってくるから!」と励まされたものですが、その言葉は本当だったと今しみじみ思うし、生まれたばかりのアペールちゃんを抱える全てのママ達にも伝えたい。出産直後の命をかけた闘いのような育児看護が、今では遠い思い出として頭を過ぎります。

まだまだ大規模な手術や自立に向けての課題はありますし、年齢に応じた心配事や問題は常に付きまとうでしょうが、最もハードな段階はクリアしたような気がします。こうして私たち家族やムスメがやってこれたのは、多くの支援があったからこそ。日本の両親や姉夫婦、友人達、アペママの皆さんや医療関係者の皆さん、そしてブログを通じてメッセージをくださった方達に、この場をお借りてお礼申し上げます。

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ムスメ5歳の記録です。

1年前の記録を読み返してみると、2語文がようやく話せるようになったところ、とありました。やはりこの一年で飛躍的に伸びたのはお喋りだったようです。

今では長い文章を話せますし、発音はイマイチ怪しいですが、私たちとも普通に会話ができてコミュニケーションが取れるようになりました。最近では保育園やサマースクールでやったこと、あったことを報告してくれることもあり、そんな成長した子供らしいムスメの姿になんだかジーン、、、(笑)。

日本滞在中に覚えた日本語もそれなりに定着し、アルゼンチンに戻ってきた当初は私とは日本語で会話していましたが、やはり時が経つに連れスペイン語の威力に押され気味。今では私が話しかける日本語に8割がたスペイン語で答えます(理解はしている様子)。2割で使う日本語の中には、誤って覚えた単語がチラホラ。今だに「これ、カワウ、カワオウ(買う、買おう)」とか「もっとタレブ(食べる)」とか言っていますが、間違いが可愛くて直せません。

日本語と言えば、1歳の時から持っているうたの絵本(おもちゃ)5冊が今も健在で、日本のお歌を上手に歌うようになりました。お気に入りは「犬のおまわりさん」「きんたろう」「こいのぼり」など。言葉を話せるようになって分かりましたが、とにかく歌うことが大好きで、スペイン語でも沢山のお歌の歌詞を覚えていてよく歌います。割と音程もしっかりしていて、歌いながら太鼓を叩いてもリズム感がいいので、今年はお歌のお教室に通わせてあげたいと密かに考えています。

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じいじとばあばにもらったピアノを弾き、友人のボンボを乱れ打ち!

日本滞在中に知ったちびまる子ちゃんやアンパンマンへの情熱は今も変わりません。一日に1回はちびまる子ちゃんの動画を見るし、日本で買ってきたアンパンマンの本は大のお気に入り。日本語の練習にもなるのでいいかなと思い、私も積極的に見せています。

誕生直後から嚥下障害があり、おっぱいを吸えなかったムスメにとって、何かを吸ったり、吹き消したりすることは高いハードルで、ストローで飲めるようになるまでも数年掛かりましたが、5歳を目前にしたある日、遂に縦笛が吹けるようになりました!以前は「どうせ吹けない」と笛に触りたがりませんでしたが、いざ吹けると分かった途端、ピーピー吹き鳴らして止まらないっ!

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この日本のおもちゃで”吹く”ことに目覚めました!気合の入った吹きっぷりを見てやってください。

一人遊びも以前よりは上手になりました。最近では赤ちゃんや女の子の人形を並べて、オモチャのご飯を食べさせたり、髪の毛をとかしてあげたり、お世話らしきことを一人でちょこちょこしています。また、電話なら固定電話も携帯電話も大好きで、誰かを想定してぺちゃくちゃとお喋りに花を咲かせたり。空想の世界で遊ぶことができるようになったのかな。

そう、空想と言えば、最近やたら口にするのが「私の妹」というヤツ。「私の妹がね~」とか「私の妹の家でね~」とか。あなたの妹って、誰???(爆)「私のお友達で雲の上に住んでいる子が~」って言うのも大好きなフレーズ。どこから思いついたんだろ?流行りといえば、「仕事」というのもキーワードの一つで、「水曜日はお仕事に行くの」とか「今夜はお仕事だから」なんて言うのも、おませちゃんで可笑しい。

他にも、「それ誰買ったの?」「どこに(”どこで”と言えない。笑)?」「いくら?」「今何時?」「何の音、今の?」ととにかく質問するのがマイブーム。次々と質問されて答えに窮し、適当なことを言って済ませてしまう場面も増えました(笑)。

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サングラスやアクセサリーに興味深々のおませガール。

他にも、ここ急激に関心を示すようになったのはヒカリモノ。日本の手術で指が5本になったこともあり、指輪がしたいよう。人がしているピアスやネックレスも片っ端からチェックし、「これ可愛いね」「これ大好き」なんてコメントも。「ばあばはピアスしてる?じいじは?してないの??じゃあじいじにピアス買ってあげようよ」とか言い出すので仰天です。でも一番困ったのは、ムスメもピアスがしたい、と言い出したこと。

こちらの国では女の子は出生時に病院でピアスを開けてもらうことが多く、ムスメのお友達の9割はピアスをしています。それを見ているから、自分もしたいと思うのはしょうがないし、私たちとしてもしてあげたいのですが、実際に開けるとなると片方の耳を開けた段階で絶対に嫌がると思うんです。やるなら両耳が原則。でもきっと大暴れして片耳だけで終わりそうな気が、、、。次回の日本帰国の際にどこかのクリニックにお願いするか、目下検討中です。

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おばあちゃんにもらったマジシャン帽子もお気に入り。

諸刃の刃かも、、と注視しているのが、IPadや携帯電話などの機器の使用です。タッチパネルはパソコンのマウスを使うようりもずっと容易で、ムスメもすっかりはまってかなり流暢に使いこなします。北欧のある調査では、「タブレットは子供の頭脳の成長を促すツールと認められた」とあって、完全否定するものじゃないと思いますし、特に腕や手を使う動作が難しいムスメにとっては将来的に助けになるツールと思っています。

が、放っておくと使用頻度がどんどん高くなってしまう傾向にあること、セドリックのIPadにはムスメに使って欲しくない戦闘系のゲーム類もあること、うっかりすると子供向けじゃない動画を再生していることなどから、いつも目が離せません。こうした機器と上手に付き合って行く方法を、親の私たちが注意深く探っていく必要があるでしょう。

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私達の友人ディエゴ叔父さんと。髪の毛もこんなに伸びました。

他にも、一年前と比べて出来るようになったことは沢山あります。肘が曲がらないので掴むのが難しかった滑り台のハシゴも上手に登れるようになり、遂に一人で登って滑ってと遊べるようになりました。すごい進歩!!脚力がついたからか、去年は乗った真似だけだった三輪車も楽々漕げるようになり、今は自転車にトライ中。

おトイレも自分でパンツを下げて、用を足して、お尻を拭いて、紙を流すまで出来るようになりました。パンツは緩めなので自分で上げられますが、課題は生地の硬いズボンを上げること。日本の手術で親指を立ててもらったからこそ出来るようになった動作ですが、まだまだしっかりと握るための握力が足りないみたいです。あと一歩!

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こんなに高い所からも一人で滑れるようになりました!

逆にムスメの苦手なことは、紙に絵や文字を書くこと。ちょうど一年前からお顔らしきものを描くようになりましたが、未だにそれがムスメのお絵かきの唯一のレパートリー。全く上達していませんし、本人もそれ以外描こうとしません。文字は単独のローマ字は全て読めますし、単語も自分やお友達の名前やパパ、ママ、セドリックなどは読めます。パソコンでなら自分の名前も書けますが、やはり鉛筆を握って思うように動かせないため絶対に紙には書こうとはしません。

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唯一のレパートリーの女の子。ママはお絵かき大好きっ子だったんだけどな~。

上手にできないと分かっていることには手を出そうとしてない傾向はかなり小さい頃からあり、その壁をどう突き破るかが課題です。

他にも、肘の障害が本当に難しいと思うのは、例えばムスメが風邪気味で鼻をグズグズしていても、自分で拭けないこと。鼻水が気になると「ママ、鼻!」と私に拭いてもらいに走って来ます。酷い時には3分ごとに私が鼻を拭いてあげなくちゃいけなくて、これは将来一体どうやって解決したらいいのだろう?と途方に暮れます。メガネがずれても直せない、口に髪の毛が入っても取れない、顔を蚊に刺されてもかけない。沢山のことが自分ではどうしようもないことが、見ていてとても切ない。

髪をとかす、髪を結わく、顔を洗う、鼻をかむ、歯を磨く、口を拭く、メガネをかける、メガネを外す、洋服を脱ぎ着する、、そんな基本中の基本の動作が肘関節の欠如からできないムスメの自立をどう促して行くかが、今後最大の課題となるのは間違いなくて、時には気が遠くなりそうですが、一つずつ地道に方法を探って行くしか道はないのでしょう。

他に、ムスメ5歳の記録として特筆すべきは、保育園で初めて仲良しのお友達ができたこと。名前はマルーちゃんと言って、ママはブラジルとアルゼンチンを行き来して仕事をする遺伝子学の研究者。国外生活経験があることから、マルーちゃんのママと私も初対面から意気投合し、以来、子連れで我が家に頻繁に遊びに来てくれるようになりました。

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マルーちゃんとのツーショット。

マルーちゃんが最初に遊びに来てくれた日、私は初めてムスメが大人の手助けなしにお友達と自然に遊んでいる姿を目にしました。二人してお互いの名前を呼び合い、手を繋いで家中を歩き回り、お人形やおままごとで遊んでいる、、、。このところ、「友達」というのが大きなテーマだったムスメにとって、そんな時間は心から望んでいたことだったはず。だから、あの日の午後目にした光景はようやく実現した夢のようで、ムスメの幸せそうに輝く笑顔に感動して胸が締め付けられる思いでした。

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二人してお姫様のかっこうして、なにやらごにょごにょと遊んでいます。楽しそう!

残念なことにマルーちゃんはちょうどムスメのお誕生日だった1月20日に再びブラジルへ渡航。4ヶ月間ママが向こうで仕事をして5月に帰ってくることになりました。マルーちゃん不在の今も、ムスメは「マルーに遊びにきて欲しい」とせがむので私としても切ないのですが、しばらくの間はスカイプや携帯メッセージで我慢してもらうしかありません。ああマルーちゃん、早く帰ってきてね。そしてこれからもどうぞ仲良くしてあげてね。

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最後に、母5年の私の記録をちょこっと。

実はここのところ自立心が芽生えてきて、今までのように聞き分けのいい子でもなくなってきたムスメに、プッチンと切れることも増えてきました(笑)。こちらの学校などで先生方がよくやる「教室の隅で考えなさい」というやつを、自宅でもやることが時々あります。

先日もおトイレで自分でズボンを下げたくないと駄々をこねだしたので、「よく考えなさい!」と一人にしてみたら、しばらーくしてドアがギーっと開き、足首までズボンとパンツを下げたムスメが満面の笑顔で「これでいいんでしょ~」と言いながらヨチヨチ歩きで出てきて大爆笑しました。

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暑い日は冷たいタイルの床にデローンと。長いなー(笑)。

言われたこと全てに「NO」で答えるのは反抗期の特徴でしょうか。これまで本当に聞き分けのいい子で手がかからなかったので、今こそ母としての資質を問われているような気がします(汗)。でもこんな堪え性のない私とムスメの我慢比べは、ムスメが正常な発育を遂げている証でもあり、親としてはほっとする面もあります。

反抗するムスメにも絶対にNOと言わない甘~いパパが大好きなこの子と、口うるさい母親の私が今後どんな関係を築いていけるか、やや不安でもあり、楽しみでもあり。これまで考えたこともなかった”将来の私たち”のことをぼんやり考えられるようになったのも、子育てに余裕が出てきた証拠かもしれません。

反抗期と言えど、誰かが泣いていたら心配でいても立ってもいられなくなり、誰かが病気と言えば毎日「もう大丈夫?」と聞いて気遣う。誰かがどこか痛いと言えば飛んできて撫でてくれるし、自分の好きなおやつは皆にも分けてあげたい。そんな繊細で心の優しいムスメ、いつも明るく朗らかな我が子を誇りに思います。

お喋りができるようになってからは、毎日欠かさず「Te quiero mucho(大好き)」 「Te amo mami (ママ愛してる)」と首に抱きついてくれるようになり、究極の”幸せ”とは何かを知りました。本当に、ムスメが愛おしいくてたまらない。こんなに誰かを愛せるものとは、この子が生まれてきてくれるまで想像もできませんでした。

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5歳になった3月からは、新しい付き添いさんと、新しい送迎車に乗って、新しい学校へ通い始めます。ムスメの人生の新たな一歩は今までのように”手をつないで”と言うよりも、一歩下がって後ろから見守ってあげたい。

ムスメが新しい環境の中、力強く羽ばたいてくれますように。

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