ムスメ 3歳6ヶ月
7月1日の夜からムスメが体調を壊し、丸2週間の非常事態でした。
健常児なら鼻水ずるずるになっても鼻をかめば済みますが、ムスメの場合は体調崩すと気管カニューレの吸い取りがフル回転になり、私は寝ることはおろか下手をするとトイレにも行けなくなるほど。普段はパパっ子でも、病気の時は何でもかんでもママとじゃないとイヤだから、ママの日常は完全に麻痺してしまいます。
1週間の看病の後、疲労&寝不足&ストレスで免疫力の落ちていた私にもばっちりムスメの風邪がうつり、発熱。その後も二人の間で何度もウイルスのやり取りがあったようで、気づけば2週間もの間、二人してゴホゴホと咳が止まらず酷い状態が続いてしまいました。
そんなウイルスが猛威を振るう真冬のアルゼンチン。そろそろ3歳半になるムスメの成長記録を、元気なうちに書いておきます。
●身長&体重・・・・・・・
2週間前に体重を量ったところ13.500グラムと少しだけ増えていて喜んだのも束の間、今回の風邪であっさり1キロ減。まさかの12キロ台逆戻りになり、大ショック!身長だけはぐんぐん伸びて現在104センチ。ガリガリのマッチ棒状態で、入浴時に直視するのが辛いほどです。増やすのはあれだけ大変なのに、減るのはこんなに簡単なんて・・・(私とまるで逆!)。昨日辺りから気分が回復してきたおかげか食べる量がまた増えてきたので、高カロリーなものをガンガン食べさせて北京ダックにしないとです。
ひょろ~っと細長いのはパパとセドリックにそっくりだけど・・・。
●おトイレ事情・・・・・・・
ブログに書き忘れていましたが、実は3月末頃(3歳2ヶ月目)に思い切ってオムツをはずしてみたところ、意外とあっさりおトイレで用足しができるようになり、今では素敵なおパンツ娘です。
本当は昨年12月、夏が本格開始した頃にトレーニングを始めたいと考えていましたが、痩せっぽっちでお尻にお肉が全然つていないもので、飛び出した尾てい骨をガーンと床にぶつけそうで怖いなあ・・・なんて妙な心配が先にたって始められずにいたんです。更に真夏の1月2月はお腹を壊すことが多く、そこでもトレーニングは先送りに。ただ、1月ごろから「うんちとおしっこはちゃんと教えてね」と言い含めてはいたので、たまに自己申告があり、たまにトイレでできる、という感じではありました。
3月に入ってから自宅に居る時はパンツを履かせ始めましたが、当初はムスメも困惑して、おしっこでズボンを濡らして自分でびっくりしていました。こうして「濡れたパンツは気持ちが悪い」ことを体験させることってきっと大事なのでしょうね。同時に、確実におしっこをしてくれる朝一番のトイレを欠かさずに続けて、成功経験を増やしてあげたことも良かったのかなと思います。
3月末ごろ、付き添いさんのCが「もうオムツはきっぱり外しましょう」と背中を押してくれたのをきっかけに、思い切ってパンツで保育園へ送り出したところ、なんとその日から自宅でも保育園でもきちんと自己申告→トイレで用足しができるようになりました。びっくり~~~。
日本の育児雑誌では「オムツはずし」が特集されていたり、日本の通販でもトレーニング用のグッズが沢山売られていたりしていたので、オムツ外しとはとても難しいものという先入観があり、始める前から鼻息荒くしていました。でも後から思ったことは、子供にはきちんと成長のプロセスを自ら進める力があるんだ、という当たり前のことでした。
うちの場合は3歳2ヶ月でもう赤ちゃんでもなかったし、きちんと言われたことを理解する能力もあった訳で、「永遠にオムツが取れないかも・・・」だなんて親の心配し過ぎだったんですねぇ。アルゼンチンには無い、日本の機能的で可愛いおまるに憧れたりしていましたが、結局ムスメはおまるも使わず、トレーニングらしきこともせず、あっさりとオムツが取れました。私の母の時代には今ある便利グッズなんて何一つなかった訳だし、本来こうやってシンプルにオムツって外れるものなのでしょう。
新しいことができるようになる喜びが子供にはきっと沢山あって、そういう自立心を信じて、親は横でフォローしてあげればいいだけなんだってことに気づかされる経験となりました。
●食事・・・・・・・・・・・
以前ブログにも書きましたが、最近ではスプーンやフォークを使って上手に一人でご飯が食べられたり、カップに指を引っ掛けて飲めるようになりました。ただ、やっぱり肘の曲がらないムスメにとって、クッキーなどを手に持って口に運ぶことは物理的に不可能なので、今後どうやって自立させてあげたらいいのかなぁと常に考えていました。
サンドイッチも手で持って食べられないので、小さく切ってフォークで食べます。
そこで、先日お店で見つけて役に立ちそうと買っておいた小さめのトングを訓練士さんに見せてみたところ、それを使って食べる練習を始めてみることに。保育園とリハビリの両方で挑戦していますが、実際に練習を始めてみるとこれがなかなか難しいよう。まず食べ物がすべり落ちないためにしっかり握る握力がまだない。親指が短い(45度外側に曲がっている)ためにトングをぎゅっと掴みづらい。たとえ上手く掴めたとしても、肘関節が動かないため、それを口に運ぶ角度を取ることが難しい etc etc・・・なかなか道は険しい模様。
でも他の色んなことと同じように、こうした困難も成長と共に絶対にクリアできると思うから、焦らず諦めず、本人が練習を楽しいと思えるような程度に地道に続けていけばいいかな~と思っています。人に食べさせてもらうなんて絶対に不便だものね。自分で好きな物を好きなように食べられるための練習となれば、きっと頑張ってくれるでしょう。
●身体能力・・・・・・・・・・・・
ここのところだいぶ転ぶことが少なくなりました。保育園の体育の時間には誰よりも積極的に参加しているとの報告もあり、体を動かすことが本当は好きな子みたいで、これまできっと思うように動けずに歯がゆい思いもしたんだろうなぁ・・。
まだまだ脚力も腕力も弱いので、走ると言っても大して速くもない上よたよたしていますが、本人としては「走る」ことが楽しいよう。ジャンプも、足が地面から完全に離れるには至りませんが、私と手を繋いでぴょんぴょんと体を弾ませるのは大好き。自力でベッドによじ登れる&降りられるようになったのも最近のことです。
ご自慢の中腰ポーズ。脚力がついてきて最近できるようになったから、やたらとやりたがる。
スーパーへ行く途中で小さな段差を見つけては、フェンスにつかまって一人で登る、降りるを楽しそうに繰り返えす姿が微笑ましいです。こんなものすごく些細なこと、健常児なら1歳の時点でやすやすとやってしまえることを、今ようやくやれるようになった喜びを、多分本人が一番感じているのでしょう。
公園に行くと、ムスメよりもずぅ~っと小さい子達が一人でぐんぐん滑り台を登り、平気な顔で滑り降りている光景を目にします。そんな他の子供達をまぶしそうに見上げるムスメを不憫にも思うし、滑り台の上からムスメを不思議そうに見下ろす子供達に「どうしてできないの?」と聞かれて私も答えに詰まることもありますが、そのうちできるようになるもんねってムスメに話しかけています。
今はだから、私が後ろから支えながら一緒に登り→滑り台の一番上でムスメに座って待っていてもらい→大急ぎで階段を下りて滑り台の下に回り→ムスメが滑り降りるのを手伝いながら下に下ろしてあげています。これ、2,3回やるともう息が上がっちゃいますけど(汗)、それでもムスメがきゃっきゃと嬉しそうに滑ってくれるので、ダイエット代わりと自分に言い聞かせて母は頑張るのでした。
そう言えば、ボールを投げたり掴んだりはかなり上手にやります。両手で投げるのも上手ですが、最近では片手で速めのボールを投げることもできるようになりました。そんなムスメの剛球はかつて「ドッヂボールの夜叉」と恐れられたワタクシの少女時代を彷彿させます(爆)。やはり、どこかでしっかり母子なんですね。
お気に入りの紙風船。ぐちゃ~っとつぶすのも好きだから、すぐに破れちゃうケド~。
●遊び・・・・・・・・・・・
最近格段に上手になったのが、お絵かき。以前は握力もなく、ふにゃふにゃの細い線を描くのが精一杯だったのに、いつの間にかしっかりと力強いラインをぐいぐい引けるようになり、直線、曲線、ぐるぐる巻きなど楽し気に描いています。未だ人の顔など具体的なものは描きませんが、塗り絵も、”線からはみ出さないように塗る”ことを意識して塗れるようになったことがすっごい成長!
我が家にはテレビがありませんが、タブレットにはかなりはまっていて、私のi pad2を凄いスピードで自在に操るところにジェネレーションギャップを感じます。一人でさっさとYoutubeを開いて、pocoyoのお気に入りの章を見つけてきゃっきゃと笑いながら見ています。セドリックがそれを見て「僕より使い方知ってる~!」と驚いたぐらい(笑)。
ここのところはおもちゃで遊ぶことが少なく、例えばお手伝いが好き。食卓のお皿を流しに下げるとか、ごみを捨てようとすると飛んできてゴミ箱の蓋を開けてくれるとか(足で踏めば開くんですが。笑)。見ると雑巾片手に熱心にガラスを拭いていたり、ほうきやはたきで掃除していたり、ちゃんと私の姿を見て真似るものですねぇ。テーブルがちょっとでも濡れていると、「おぉ!」とか言って直ぐに台ふきんを取りに行く潔癖さは、まるで自分を見ているよう。
何が楽しいのか、一心不乱に窓拭きするヒト。しかも濡れた台ふきんでっ[emoji:e-350]。
他にも、スーパーへの買い物は大好きなことの一つ。「買い物行く?」と聞くと、即座にキャリーバッグを探しに飛んでいきます。もちろんスーパーまでキャリーをゴロゴロ転がして行くのも彼女。率先して野菜を選んでくれたり、レジに商品を乗せてくれたり、荷物の持ち運びに手を貸してくれたり、いつも一生懸命手伝ってくれる健気なまでの姿に、母はじーんと感動します(たとえ実際にはちっとも助けにならなかったとしても)。
身の回りのことも何でも自分でやってみたい年齢なのでしょう。保育園から帰ってくると自分でリュックを開けてお皿とコップを流しに下げたりするお利口さんは、果していつまで続くかな。両腕共に健常児よりも短いので難しいのですが、自力で靴を履くことにもはまっていて、つい先日両足ともきちんと一人で履けました。バンドを穴にとしてパチンととめるちょっと難しいタイプの靴だったので、私もびっくり。本人も拍手喝采で自画自賛の嵐でした。
帰宅直後、早速リュックを開けている図。
ボタンも自分でかけたくて仕方がなく、着替えの度に握り締めて離さず大変面倒臭い積極的ですが、親指が短いし、指の第2関節はないしで、これはまだまだ難易度が高過ぎ。でも、こうして今のところ年齢に見合った興味を示してくれているのでほっとします。
●発話など・・・・・・・・・・・・
実はいまだにムスメの発語は最小限です。最近増えた単語も、ワワ(ママのこと)、アブ(アブエラ/おばあちゃん)、チャオ(バイバイ)、オラ(やあ)、はい、うん、など僅かです。お風呂に入ってシャンプーを「プー」、石鹸を「しぇっけ」などと言いもしますが、いずれもはっきりとした単語には至らない状態。
ムスメは言葉こそ話しませんが、その代わり他の手段を使ってコミュニケーションを取る能力はとても高いため、うっかりするとお互い黙ったまま生活できてしまうほど(!)。なので、たとえ独り言のように響いても、私はなるべく話しかけるよう意識していないとなりません。
コミュニケーションは取れても、やっぱりムスメが話し始めないことは大きな悩みの種でした。発語がこんなに遅れている原因もよく分からず、心配もしました。知的な問題か、神経的なものか、それとも機能的な問題か。
でも、3歳半になった今、言葉以外のムスメの成長を観察していて、これは機能的な問題がだいぶ大きいと確信が沸いてきました。もちろん私は医者でも訓練士でもなく、もしかしたら間違っているかもしれない。でも、ムスメの記憶力や理解力を見ていると、言葉だけが口から出ない、否、出せないのはやはり顔面の奇形(極度の反対咬合と上顎の亀裂)のせいだと思わざるを得ない。
私が10数年前に日本語教師の資格を取得した際、音声学も学びましたが、子音を出すために舌が触れる場所というのは各音それぞれ異なります。例えばT音を出すためには舌は上の前歯の付け根辺りに軽く触れます。でもムスメの場合、顔面中心が極度に凹んでいるため、上の前歯の位置が健常児の上顎の真ん中になります。その位置に舌を当てると、T音は「チャ チュ チョ」のように非常に不明瞭になります。これが正にムスメが出すT音なんです。
これほど酷い反対咬合(パンも噛み切れないぐらい)で普通に話せるのかなと、意識して下顎を思い切り突き出して発音してみたところ、これも非常に難しいと分かりました。子供が大人の話し方を見たり聞いたりして無意識に音を真似る、という自然なかたちでは、ムスメは発音を取得できないのだと気がついたのはこの時です。
更にムスメは鼻から空気を吸うことができません。鼻が完全に塞がった状態だとM音などの鼻音を出すことは相当難しい。ムスメもそれを悟ったらしく、突然私のことを「ワワ」と呼ぶようになりました。「ワワ」だと、「ママ」のように完全に口を閉じなくてもよく、発音しやすいからです。ただ、本人は「ワワ」が便宜上の発音で、自分が「ママ」と言えないからだということをよく分かっていて、折口パク(無音)で「ママ」と呼びかけてきて、途中から「ワワ」と聞こえるように言い換えたりします。
こう考えると、今訓練士さんがやってくれているように、一音一音、口の開き方から舌をつくポイントまで、根気良く教えて覚えてもらうしかないのだと分かります。それは、耳で聞いて自然に発音できるようになる健常児の子供達とはおおよそ比べものにならないぐらい困難な道で、正直気が遠くなることもあります。こうしてたとえ今話せるようになっても、7,8歳で受ける予定の顔面骨延長の治療の後、上顎の位置が矯正されてまた苦労するんじゃないかと心配でもあります。
でも、地道に一つずつやっていくしかないんですよねぇ・・・ふぅ・・・長い道のりだな。
この件を通じてつくづく思ったことは、形成外科医は手術(医学面)のことしか話さないし、訓練士さんは訓練(機能面)のことしか分からないという事実。就学年齢前に話せるようになるためにも、本当は顔面骨延長手術ももっと早めにした方がいいのかもしれない。でも、そうした医学面と機能面を合わせて考慮し、ムスメにとって最善の道をアドバイスしてくれるプロの方がいないんです。
これまでは親の私達が観察を続けて、手探りでムスメの手術のタイミングなどを計ってきましたが、最近ちょっと限界を感じています。果して最も良い道を探してあげられているのか、不安とストレスもだいぶ溜まってきて、包括的にアドバイスのできる専門家の意見を聞きたいと切に思うのですが・・・。日本のアペールちゃん達はどうしているんでしょう?ムスメほど酷い顔面陥没のお子さんは見たことがないのですが、同じような発語の遅れがあるお子さんもいるのかなぁ・・・。
●記憶力・・・・・・・・・・・・・・
こんな項目を作ったのは、ムスメの記憶力が異様に良いことに気がついたから。ここのところ、varijita(バリヒータ/トランクの意)という名の子供雑誌が大のお気に入りです。3歳~6歳ぐらいを対象にした薄い週刊誌で、豪華なおまけはついていませんが、アルゼンチン版学研??みたいな感じ。
このバリヒータには毎週「小さな読者達」というページに30人程度の子供の写真が掲載されます。ムスメが夢中になっているのが、実はこのページ。ムスメが指差す子供の名前を私が読んであげるのですが、ある時うっかり間違えて他の子の名前を言ってしまったところ、ムスメの指がぴたりと止まり、ブンブんと激しく頭を横に振るじゃありませんか。えー!もしかして名前覚えてるの???とびっくりし、慌てて正しい名前を言ったところ、ムスメは私が間違えた名前の子を指差して「アイエッタ!(その子はこっちだよ!)」と叫んだのです。
これにはホント、度肝を抜かれました。雑誌を買って、名前を読む遊びを始めて数回目のことだったので。この時以降、私とムスメの間で名前当てゲームが流行っています。私は文字を読みながら、何回も繰り返し遊んで段々覚えていきますが、文字が読めないムスメが記憶するスピードの方が格段に速いです。毎週新しいバリヒータを買うごとに、何回ぐらい聞けば記憶するのかな~と観察していますが、3,4回目には8割がたの名前を覚えてしまうよう。どうやって記憶するのかなぁ。
そんなムスメを見ていて思ったことは、発語の遅れは知能の遅れとは直結していないだろう、ということでした。ただし、話せないことで遅れる知能の発達はあるだろうと覚悟しています。「分からないことがあるから質問する→答えをもらって理解する」とか、「言いたいことを言う→それに対するコメントをもらう」とか、そんなやり取りが出来ないことで伸びていかない部分は当然あるだろうと。
そんな悩みもある今日この頃ですが、今年はムスメの手術が一つもない予定だし、日常は至って穏やかです。3年以上もの間ママと呼んでもらえず悲しい想いをしてきましたが、やっと「ワワ」と呼んでもらえるようになって幸せです。ムスメも「ママ」と呼べずに辛かったんだなぁと思ったのは、「ワワ」を発明してからというもの、必要ない時でもずーっと「ワワ、ワワ」と甘い声で私を呼んでは抱きついてくるようになったから。もうこんな我が子を見ているだけでとろけます。
ムスメに対しては、みんなと同じじゃなくても全然っいい。元気で、ムスメなりに成長して、毎日を楽しく過ごしてくれたらそれでいい、と心から思います。でも、自分自身に対しては、ムスメの良いところを最大限伸ばしてあげられているか、といつも厳しく自問自答してしまう。だからきっと疲れちゃう。
母業3年6ヶ月。私ももう少し肩の力を抜いて、ムスメの成長をのんびり見守れる心のゆとりが必要かな~・・と反省する、まだまだ新米ママな私なのでした。
おまけ
うちのチビ達に編んだマフラー。
ムスメのは紫と赤の中太糸を2本取りで、セドリックのは極太のブルーグレーの糸で。
私が冷やかしたので、お兄ちゃん、なんだか超照れてます。