アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

行ってきます

いよいよ日本帰国が6日後に迫ってきました。

今回の帰国で楽しみなのは、行きも帰りもメキシコ経由になること。以前住んでいたメキシコは私にとって第2の故郷ですが、今回は実に6年ぶりの訪問となります。トランジットの待ち時間も行きは半日、帰りは一泊と長いので、大好きな友人たちと懐かしい再会を果たし、久しぶりのメキシコ料理をがっつり食べてきます!初メキシコのダーリンもトロツキー博物館に行くのだと鼻息を荒くしていましたが、月曜日着で美術館博物館関係は全て休館。残念~。帰路に持ち越しとなりました。

DSCF1225_convert_20150830231758.jpg

ムスメ生まれて初めての「MAMA」です。じ~ん。

さて、航空会社に提出する医師の診断書を揃えたり、来年度のリハビリや学校の調整をしたりとバタバタしていますが、目下のところ私の一番の心配事はムスメの精神状態です。日本に行きたい、じいじとばあばに会いたい、病院に戻ってプレイルームで遊びたいなどなど、とっても前向きなように見えますが、実際のところ、再び手術を控えてどんな心境でいるのか気になるところです。

1ヶ月ほど前、i padで写真を見ていたムスメが突然「ママ見てー」と呼ぶので覗いてみたら、術後の自分が車椅子に乗っている写真を見つけてニコニコしていました(汗)。去年入院した時のもので、両手は包帯でぐるぐる巻き、足には点滴が付いていて歩けず、それでトイレに行くために車椅子に乗せられているかなり可哀想な感じの写真でした。それなのに嬉しそうに私に写真を見せるムスメの本意を図り兼ね、首を傾げてしまいました。

IMG_1092_convert_20150830230508.jpg

こちらがその写真。次回の入院中も車椅子に乗りたいと今からやる気満々?なんですが、、、汗。

他にも、手術後に酸素チューブを付けて寝ている写真とか、指の延長器をがっつり手に取り付けられている痛そうな写真まで平気な顔をして見ている姿に疑問を覚え、これはもしやあまり良くないことじゃないかと思って、写真を削除することも考えました。でも本人はいたって冷静で、「痛かった?」と私が聞いても「うん、痛かった」とクールなお返事、、、。「また病院に行くけど大丈夫?」と聞くと、「うん。病院に行きたい」と満面の笑み。うーん、、、。

これまでいつも、ムスメの朗らかさと内面の強さに救われてきたのは事実です。もしも泣いて嫌がられたり、痛かったと訴えられたりしたら、もう二度と病院に連れて行けないと思ってしまうことでしょう。あんなに辛かったはずの入院も手術も治療も、ムスメはいいところだけを記憶しているように見えてほっとはしていたのですが、私としてはどうにも腑に落ちませんでした。

次回の手術後には気官カニューレが取れることも知っているので、「日本に行って病院に行ってこれ取るの」と嬉しそうに言う姿に至っては、なんと健気なことだろうと感動すると同時に、本当に大丈夫かなーと心配していました。

DSCF1227_convert_20150830232314.jpg     DSCF1231_convert_20150830232508.jpg

お絵かきも上達しています。いつものお顔におたまじゃくしみたいな体が付きました!

特に今回の手術では顔面骨の延長器を2ヶ月半ほどがっつり顔に付けられるので、そのことを事前に話しておく必要がありました。術後に集中治療室で目覚めた時、自分の身に何が起こったのかわからずにパニックになるかもしれないからです。でも、何をどこまで話したらいいのか。ネットで探せば、ごっつい延長器の映像も見つかるでしょう。でもそれを見せてしまったら、今から恐怖心を掻き立てるだけで逆効果です。

目覚めた時に延長器が顔についていて、その状態が2ヶ月半続くことを、どのタイミングでどうやって伝えたらいいか、ムスメのカウンセラーさんとも話し合って、8月に入ったらカウンセラーさんからも話してもらうことにしました。

DSCF1284_convert_20150830233627.jpg     DSCF1286_convert_20150830233821.jpg

私の日本語クラス用のホワイトボードに夢中、、、。

そこで、準備として私が何枚かの絵を描くことになりました。1枚目に描いたのはムスメが入院病棟にいる絵。パパとママもその横にいて、皆にこにこ笑っている図です。私が作業を始めると、ムスメも興味深々で横に張り付いてじーっと眺めていましたが、、、そこで突然、一言ポツリ。

ムスメ「なんで病院にいるの?」

私 「日本に帰ったらお顔の手術をするでしょう?」

ムスメ「なんで笑ってるの?私が泣いているように描いて」

私 「(絶句)、、、、、、、、、なんで?」

ムスメ「なんでも」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これを聞いて、やっぱりそうか、と思いました。明るく振舞ってくれているけど、やっぱり本当は辛いんだ、本当は怖いんだって。私ですらこんなに怖いんですもの。当事者はもっと辛くて怖いのは当たり前です。

カウンセラーさんにこの会話のことを話したら、数日間そのテーマには触れないようにと言われました。絵はムスメ不在中に仕上げ、カウンセラーさんに渡して彼から話しをしてもらうことにしました。

カウンセラーさんから絵を見せられたムスメの反応は落ち着いたものだったそうです。一度に全てを話すのはやめて、ムスメの理解が徐々に進むように、ムスメが絵を見て関心を示したことから話すようにしてくれているようです。私も自宅で何度かムスメと一緒に全部の絵を見ました。お顔に延長器がついている絵も見せて、さらっと説明もしました。手術が終わって目が覚めたら、お顔に金具がついているけどびっくりしないでね、2ヶ月半つけるだけで、後で取れるからね、と。ムスメはまだピンと来ないようで、聞き流していましたが、、、。

DSCF1288_convert_20150831225840.jpg     DSCF1287_convert_20150830234926.jpg

お友達のN君3歳と。二人してバナナ食べてる姿は正に子ザル二匹。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

次回の入院、手術、治療は、この5年間で行ってきた治療の中でも最大の山場です。

母子共に最短で2ヶ月半に渡る長期入院のストレスを克服しなければならないことが一つ。顔の数箇所から針金が飛び出した状態になるのをムスメが我慢しなければらないことがもう一つ。そんなムスメが転んだりしないよう、近くで万全のケアをしなければなりません。

そして、ムスメも私たち家族も、彼女のお顔の大幅な変化を受け入れなければなりません。治療後は面影も残らないほど大きく変わってしまうようで、、、これまで愛してきたムスメの可愛らしい鼻ぺちゃなお顔に別れを告げなければなりません。

もちろん、鼻で呼吸ができるようになれば今よりもずっと楽でしょうし、「カニューレが取れたらプールに潜るんだ!」とムスメが嬉しそうに言うように、私たち親子の人生が変わるほど大きな改善につながることは間違いありません。でも、たとえそうであったとしても、こんな試練にたった5歳のムスメが挑まなければならないこと、今更ながら胸が痛んで止みません。

DSCF1222_convert_20150831230109.jpg     DSCF1223_convert_20150831230241.jpg

仲良しのMちゃんともしばしのお別れ。それにしても、狭いところにはさまって遊んでいるなぁ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先日ワクチンを打ちに病院に連れて行ったところ、診察室に入ったムスメは泣いて叫んで暴れて大変でした。あんなに嫌がったのは後にも先にも始めてのことでしたが、これまでの積もり積もった痛い記憶と経験がムスメに恐怖心を植え付けているのは明らかなようです。

もう何も分からない赤ちゃんじゃない、しっかり自己主張をするムスメが、次回の治療に対してどういう反応をするのか心配です。治療が避けられないものである以上、私がムスメにしてあげられることは、ずっとそばに居て、しっかりその手を握ってあげることだけ。

ブログを読んでくださっている皆様、今とってもナーバスな私達親子にどうぞポジティブなエネルギーを送ってやってください。

DSCF1274_convert_20150830233520.jpg

家族写真なんて久しぶり。私の誕生日にちょっぴり不細工なお手製ケーキと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

顔面骨延長と気管カニューレ抜去が全て順調に済めば、来年の2月にはアルゼンチンに戻って来られると思います。その間はブログの更新が滞りますが、元気なご報告ができるようムスメと一緒に頑張ってきます!

DSCF1299_convert_20150831230346.jpg

行ってきます!