アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

ムスメ成長報告

大っ変長いことご無沙汰していました!!

最後にブログを更新してから、既に2ヶ月ほど経ったような気が・・・。これだけ書いていないと、書きたいことも山のようにあってどこから手をつけていいのか分からず、そんなんでずるずると書き始められないまま更に時間が経っていたのでした。

どうしてるー?と連絡をくれた皆さんありがとう&心配かけてごめんなさい!!私もムスメも元気です。

実は自宅看護が始って慌ただしく1カ月が過ぎた頃、日本からじいじとばあばがムスメに会いに来アしてくれました。海外生活経験ゼロの両親と送った1ヶ月間の共同生活は、助けてもらうことあり、助けることありでバタバタと忙しく、PCの前に座る時間が全然取れずにすっかりPC離れしてしまいました。

このご無沙汰していた2ヶ月間、ムスメはぐんぐん成長し、現在月齢5ヶ月、体重6120グラム、身長66センチの元気な子ブタちゃんとなりました。やっぱりおうちがいいのでしょうね。3か月の病院生活ではトータルして300グラムしか増えなかった体重が、おうちで家族と生活を初めてから2ヶ月で2キロ以上増量したことになります。これでようやく平均水準に達したところでしょうか。

以前は頭ばかりが大きくて、体なんて申し訳程度にくっついている付属品みたいに貧弱だったのが、だいぶ均整のとれた見た目になりました。枯れ枝のようだった手足もぷくぷくしっかりして、片手で掴めそうだったお腹もぽちゃぽちゃとたっぷり幅が出てきました。

それに伴いだいぶ筋力も付いてきたようで、以前は肩関節が固いためほとんど持ち上げられなかった腕を、最近は頑張って上げるようにもなりました。2ヶ月ほど前からは「じっと手を見る」がブームで、比較的症状が軽く上げやすい左手を目の前にかざしては、何時間でも飽くことなく見続けています。

自分の「手」の存在に気が付いてからは「目当てのおもちゃを見つける→腕を上げる→手でつかむ」もできるようになり、体だけでなく脳の発育も順調なようでホッとしています。今はアメリカ在住のAちゅんが送ってくれたアヒルとカエルのおもちゃがお気に入りで、ぶら下げておくとぐいっと気合いを入れて腕を持ち上げて掴みます。

lila en cochecito 2

lila en cochecito 3

ムスメの手は、人差し指、中指、薬指、更に小指がぴとっとくっついているため、あまり上手に物が掴めませんが、それでも親指と人差し指の間に何とか挟んでぶらぶら揺らして遊んでいます。全ての指に神経が通っていて動くかどうかは、切り離してみるまでは分からないと指摘されてきたこの指ですが、ムスメのそんな動作を観察しているうちに、小指にもきちんと力を込めて物をつかんでいることに気が付きました。

さて、自宅看護が始ってからも、何度か病院に専門医の診察を受けに行きました。これまでのところ、各専門医による今後の見通しは以前言われた内容とだいたい同じですが、色々とあって若干予定よりも遅れています。

まず、次に予定されている頭蓋骨(額)と眼窩の整形手術は、当初生後3~5ヶ月の間に実施する予定でしたが、ムスメの肺に溜まる粘液が手術中の呼吸確保の障害となるのではないかと懸念されてきたため、現在も様子見が続いています。

更に冬の病院はどこも病気の子供たちで溢れかえっていて、この時期に手術→入院となると、危険な院内感染の可能性も高まり、医療関係者の間でも春まで手術を待っても脳の成長に支障がないようならその方が良い、という意見もあります。

呼吸器官に問題のある幼児にとって、冬は大敵です。肺の状態が悪化し、粘液が増えてしまい、気管カニューレを塞ぐ恐れがあるからです。先日遂に肺の専門医から「手術に影響はないでしょう」と診断されましたが、最終的なGOサインを出すのは麻酔医となります。今のところは手術の日程を執刀医である脳外科医が決定するのを待っているところです。

手足の指の癒着に関しては、1歳~1歳半の間に切り離し手術が行われる予定です。現在くっついている4本指を、何度かの手術で完全に切り離します。健常児の細くしなやかなな5本指を目にするたびに、その美しさ、奇跡のように良くできた精巧さにいつも目を奪われます。ムスメの指は切り離しに成功したとしても、そんな風にはならないようですが、それでも5本の指でしっかりと物を掴めるようになるのを早く見てみたいです。

上顎(口をあーんと開けた時の上側)の真ん中に細く入っている亀裂は、1歳半ごろに塞ぐことになります。現在は透明のプラスチックでできたカバーを入れ歯のようにはめていますが、今後言葉を話すようになることを考えると、やっぱり早めに塞いであげたいなと思います。

気管カニューレについては・・・いつまで続くか分かりません。実はこれがついている間は、ムスメの声は全く聞こえません。今頃はもう「あー」とか「うー」とか言っているはずですが、とても残念なことにそれも聞くことができません。空気が喉元のカニューレから出入りしているため、その上にある声帯を震わせることができないからです。正直なところ、母親としてこれが今一番辛いことです。

ムスメが鼻からきちんと呼吸できるようになるまで、このカニューレは必要と言われていますが、それにはムスメの小さな曲がったお鼻の形を変えてあげる必要があるようです。以前は次の頭蓋骨と眼窩の手術の際、若干鼻を持ち上げることが可能ではないかと言われてきましたが、ムスメが小さすぎるため色々同時にやるのは難しいと先日執刀医に言われました。もちろんムスメに無理はさせたくないし、リスクは可能な限り回避したいのですが、これでまだまだカニューレが取れないことになり、残念でもあります。

2歳、3歳からカニューレをつけることになった子供は、既に「話す」という行為を知っているため、自分がしゃべりたい時だけカニューレを手で塞いで声を出すそうです。でも、生まれて間もない時からカニューレをつけているムスメは、まだ一度も自分の声も聞いたことがなく、「話す」こと自体を知りません。そんなムスメの発話訓練をどうやって今後やっていくのか、専門家と相談して進めていくことになりそうです。

もう一つの大きな懸念事項は、肘関節です。ムスメの肘は軽く曲げた状態で固まっています。幸い骨の癒着はなく、関節もきちんとついていますが、その関節を取り巻く組織がとても固く、伸ばしたり曲げたりができません。今は関節専門の作業療法士さんに週2回診てもらっていますが、果たして将来的に動くようになるのかどうか現時点では全く分かりません。

もしも肘関節が動かなければ、今の角度では自分でご飯を食べたり、顔を洗ったりすることもできないため、最終手段として手術を受け、角度を変えてもらうことになるそうです。でもそれはあくまで最終手段。今は毎日少しずつでも関節が緩むようにと体操をさせています(ムスメはこれが大嫌いで鬼のように泣きますが)。

何カ月、何年掛かるか分かりませんが、地道に訓練を続けて少しでも肘が動くようになることを祈るばかりです。腕が使えるかどうか、恐らくこれが娘の人生を大きく左右することになるでしょう。

さて、ムスメは生後すぐから口から胃に通したカテーテルをでミルクを飲んできました。これは哺乳瓶で授乳した際、飲み込んだミルクが全て気管カニューレから出てきてしまうという大問題があったからです。恐らく喉の奥についている気道と食道を塞ぐ弁が当時上手く機能していなかったからだと思われますが、この肺に入ったミルクが感染症をおこす原因となり、即刻保育器に逆戻りとなり、それ以降哺乳瓶での授乳は禁止されてきたのです。

あれから数カ月が経ち、ムスメが順調に成長を遂げたこともあり、先日遂に嚥下の検査を受けました。これは特殊な液体を哺乳瓶で与え、ごくりと飲み込んだその液体がどのように体内を通っていくのかをX線の動画(?専門用語分かりません・・・)で追いかけるというものです。その結果なんと、飲み込まれた液体はもう気管へ流れ込まないということが証明されました!

そこでようやく近日中にお口のカテーテルを外し、哺乳瓶でミルクを飲む練習が始まる予定です。このカテーテル、当時は唯一ムスメにミルクを与える方法だったので仕方がなかったのですが、実は様々な問題を起こしてもきました。

例えば、常に胃に差し込まれている状態のため、胃の入り口が完全に閉じることがなく、飲んだミルクが逆流してくることがありました。更に、やはり体にとっては異物のため、カテーテルを押し出そうと体内で粘液が盛んに分泌され、嘔吐の原因ともなっていました。最近では冬の気候との相乗効果で更に分泌液が増え、この2週間ほどは毎日必ず2,3回吐いてしまう状態で、体重の増加率も下がってきていました。

医師の中にはこの嘔吐を懸念して、哺乳瓶での授乳(つまり新しい試み)は今しばらく見送った方がいいのではないかと言う人もいますが、嚥下訓練専門の作業療法士さんと私は、一日も早くカテーテルを外せるようになることこそが、嘔吐を回避することに繋がるのではないかと考えていて、できれば今週中からでも哺乳瓶を試してみたいと思っています。果たして許可されるでしょうか・・・!?

以上、この2ヶ月間の成長報告(駆け足版)でした。

じいじとばあばが来てくれた頃から、顔全体で笑って笑っていつもとびきり上機嫌なムスメを見ていると、はぁ~人間かくあるべきだわと、つまらないことや今考えてもしょうがないことに頭を悩ませ、眉間にしわを寄せている自分を深~く反省する日々です。私たちは皆こんな風に、大して何もなくてもとびきり幸せでいられた時期を過ごしてきたのですね。

ムスメなんて、喉にいっつもおえっとなるカテーテルを通されて、首には穴まであけられてカニューレをつけられて、ママのおっぱいも知らずに、ミルクの味さえ味わったこともなく、しかも今だってお外にすら出られない毎日なのに、それでも大して出来の良くない私のような母親の顔を見つけるたびに心底嬉しそうな顔をして、足を振り上げては全身で幸せを表現してくれる。

幾つもの機械と多くのお薬に囲まれた自宅看護ではあるけれど、誰にも邪魔されずムスメと二人手を取り合って笑っていられる今のこの幸せを、存分に楽しまないと、ですね!

egao