アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

ムスメ8M

本日20日、ムスメが8か月を迎えました。ちょうど今日気管カニューレの交換で病院へ行ったのですが、身長73センチ、体重7400グラムでした。相変わらず細長~い赤ちゃんですが、体つきはだいぶしっかりしてきたかな。

冬の間中ミルクを吐くのが止まらず、体重がなかなか増えなかったりと心配が尽きませんでしたが、春の訪れと共にだいぶ良くなり、ここ最近は魔法のように嘔吐がなくなりました。いや~ほんと、幸せとはムスメが吐かない生活のことだったのだ・・・と思ったほど、嘔吐続きの日々は精神的にきつかったです。

さて、明後日の手術前に、今ムスメができることとできないことを、記録としてまとめておこうと思います。色んな面で、健常な赤ちゃんとは違うことがやっぱり多いです。

まず授乳のこと。いまだミルクはカテーテルを通して飲んでいます。一度哺乳瓶での授乳訓練を開始したのですが、冬の間中嘔吐が続いていたため中止となり、更に手術の日程が確定してからは、手術前に無理なことはさせず、術後回復してから改めて今後の計画を立てましょうという医師の判断により、現状維持となりました。

でも・・・お口から胃へ通したカテーテルの装着はそろそろ限界に来ています。このカテーテルを付けたままだと哺乳瓶での授乳や離乳食を食べさせる訓練ができないため、術後これらの活動を開始するとなると、その都度カテーテルを外し、訓練後に再び装着することになります。が、成長するごとに苦痛に対して敏感になっているムスメにとって、この装着はかなり辛いものになってきています。胃カメラを飲まされるのと同じようなことをデイリーでされたら、誰だって我慢できないはず

そこで、今回の手術後に胃ろうをする見通しが強くなってきました。数か月前に胃ろうの可能性を聞いた時は、これ以上ムスメの体に穴を開けたくなかった私たちは断固拒否していましたが、カテーテルでの授乳に限界を感じている今、一時的な対応としてしょうがないか・・と納得しつつあります。

カテーテルでは3時間おきに80mlのミルクをあげていますが、その所要時間は毎回1時間半にもなります。授乳中ムスメは授乳用の機械に繋がれ座ったたままになるため、必要なアクティビティが全くできず、もともと弱い筋力を鍛えるチャンスがありません。そして月齢8カ月にもなれば離乳食を食べ始めるころですが、カテーテルを通しては当然それもできません。

胃に小さな穴を開け、外から胃に直接食事を与えられる胃ろうをすれば、ミルク以外の物もあげられるため、体重も増えやすく、体も大きくなり、筋力もつくそうです。また、予め食事を用意しておいてあげれば、お外に連れ出すこともできそうです。なにより長時間機械に繋がれる必要がなくなり、更にお口のカテーテルも外せるため、嚥下の訓練も問題なくできるようになります。お口から物を食べる、飲むことができるようになれば、その時点で胃の穴を塞ぎ、普通の生活が送れるようになります。

それでもやっぱり、胃に穴をあけて食べ物を注入するって、なんだか鉄腕アトムのお腹に燃料入れるみたいだわ・・・と、だいぶ抵抗はありましたが、こうしたメリットを冷静に考えた結果、ダーリン共々この提案を受け入れる気持ちになりました。とは言っても、まずは明後日の手術とその後の回復によって施術時期が決まることになるので、まだまだいつになるか分かりませんが。

身体能力についてですが、まだ一人でお座りはできません。アペール症の子の特徴として首や肩の筋力が弱いらしいこと、健常な赤ちゃんよりも頭がでっかいことなどが影響しているのだと思います。そして先ほど書いたとおり運動する時間がないことも。それでもだいぶ首がしっかりしてきたので、私が少しだけ支えてあげれば何とか座れます。でも本人、特にお座りが好きなわけでもなく、いつまでもごろ~んとしてたいの、とイヤイヤをするので困ります

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この日はまだ割とご機嫌で、ニヤリとする余裕もありました。

寝がえりもまだ一人ではできません。実はこの寝がえり、ちょっと問題ありで、これまで積極的に練習させてこなかったというのもあります。というのも、ムスメの場合、寝がえりすると喉元についているカニューレが塞がって呼吸ができなくなってしまうのです。

もしもムスメの両肘に問題がなければ自力で上半身を支えることができるのでしょうが、この子の場合は腕も不自由なため、上手く呼吸を確保するための態勢も取れず危険です。

でも、こうした運動が徐々に体の筋力を高めていくので必要だろうと、先日作業療法士さんと話をしたところ、上手い寝がえりの仕方を教えてもらいました。それは、比較的関節の柔らかい左腕をうんと上に持ち上げた状態で左側へ寝がえりさせるのです。こうすることで、寝返りができた時には両腕で既に上半身を持ち上げた状態になっているというわけです(文章で書くと全っ然分かりませんね流してください)。

最近好きなことは鏡を見ること。驚いたのは、鏡を見せ始めてすぐに自分をちゃんと認識し、更に彼女を抱っこしている本物のママと鏡の中の私を交互に見比べ、鏡の機能を理解したようだったこと。とにかく鏡の前では始終ニコニコでご機嫌です。最近では家の中のどの位置に鏡があるのか覚えていて、そこを通り過ぎるたびに必ず鏡をのぞきこみます(自意識過剰?誰似?)。

自意識過剰と言えばカメラを向けられるのも大好きで、超カメラ目線でぴたっと動きを止め、ポーズもしっかりキメます。私がなかなかシャッターを切らないと、「これ?これは?それともこれ?」とポーズを微妙に変えては私の反応を待っているよう。笑って~と催促すれば笑うし、サービス精神はなかなか旺盛です。しかも、私が撮った写真を見直している間中、自分にカメラが向けられていると勘違いして、お気に入りの足あげポーズのまま笑顔でこちらを見上げていたりするのがかなり笑えます。「ごめんごめん~ママ今写真撮ってなかったよ~」と思わず謝ってしまうことも。

撮った写真やビデオを見せてあげると、これまた凄い食いつきよう。じ~っと見入ってから笑いだし、ちゃんと自分が映っていることを分かっている様子。そんなもんなのでしょうか?鏡にしろカメラにしろ、頭の中でどういう風に理解されているのでしょうね。

他に好きなのは絵本。

でもファーストブックと呼ばれるような、いわゆる赤ちゃん用の絵本は持ってきていなかったので、3,4歳児以上向けの絵本を読み聞かせています。

もちろんムスメはその内容を聞いて楽しんでいるわけではなく、ページを自分でガンガンめくることに熱中。時折ページで指を切って流血してますが一向にお構いなし。ノンストップでめくっては絵が変わるのを見て喜んでいます。そして、最後に表紙か裏表紙をぱたんと閉じるのが何よりも嬉しいらしく、にんまりと満足気な笑みを見せます。達成感?

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この日は一人で遊んでいますが、いつもは私の膝の上で一緒に読みます。ここでも、最初カメラに気付いていなかったのに、カメラを見つけた途端ポーズをキメてます

声については、カニューレがあるため相変わらず聞こえませんが、しきりに話しかけたり叫んだりしているようです。時々背中を向けている私に叫んだりもしますが、悲しいかなその声は聞こえず。何やら気配がしてはっと振り向くと、ムスメがおっきな口を開けて私を呼んでいた、と言うことがよくあります。最近ではこんな時私の注意を引くために、ものすごく素早い足蹴りを繰り出してバタバタと音をさせる技を覚えました。

そんなわけで、ムスメの“言語”がどんなことになっているのかはっきりとは分かりませんが、私が日本語で言うことはある程度理解しているようです。例えば、「ママどこにいるの?」と聞くと、毎回動きをぱたっと止めて私を目で探し、じっと見るので(ホントかな~)。

一応バイリンガル教育をしてみようと、アメリカ在住の友人Aちゅんを見習い、私は日本語で、ダーリンはスペイン語でムスメに話しかけていますが、両親が別の言語を使っていることも分かっているような気がします。それは、私が間違ってスペイン語で話しかけてしまうと、「?なんで?」って顔をするから(笑)。なんて、どうなんでしょうね。ただの親バカな勘違いかも。

いつかカニューレが取れて、ムスメが声を出して「ママ」な~んて呼んでくれたら、感動しすぎてぶっ倒れちゃうんじゃないかと思います

成長するに従ってだんだんムスメの性格もつかめてきました。とっても面倒くさがりで、頑張ったりするのは大嫌いみたいですが(これはダーリン似)、いつも相当機嫌のいい赤ちゃんで、泣いたりぐずったりすることがほとんどありません。疲れた時や寝る前にちょこっと気難しくなるぐらいでしょうか。一人遊びも上手だし、そういう意味では本当に手のかからない子なので、育児でイライラすることは今日までのところ全くありませんでした。

最近ではセドリックがいいお兄ちゃんになってきて、私の料理中ムスメの相手をしてくれたりするので助かります。すっかり少年になってきた彼を見るたびに、あんなに赤ちゃんみたいなわがままっ子だったのにねぇ・・・と感慨深~いものがあります。ムスメもお兄ちゃんに遊んでもらうのが大好き。二人が一緒にいるのを見ていると、子供同士にしか分からない何か特別な空気が流れるのを感じます。

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私とセドリックの関係も段々変わってきました。頭のいい子なので話していて面白いし、ちょっと頼りにもなるしで、最近では二人でお買い物に行ったり、週末ダーリンがムスメをみてくれている間に公園へ遊びに行くようにもなりました。彼は木登りして、大好きな枝を引きずって歩き、一緒に水切り(?って名前?石を投げて水面をぴょんぴょんと跳ねさせる遊び)して競争したり。チューロ(甘いお菓子)を買って敷物を敷き、寝転がっておしゃべりして春の気持ちいい午後を過ごすと、平日の引き籠り生活のストレスがすぅ~っと体から抜けていく気がします。

そして、実はダーリンと私の関係にも大きな変化がありました。

正直に告白すると、先日の入院前まで二人ともかなり疲れていて険悪な雰囲気だったのです。私はこの5ヶ月間の缶詰状態に精神的にいっぱいいっぱいでしたし、ダーリンは外に出られない私に代わって煩雑な手続きなど全て一人でやらなければならず、職場と学校と保険会社と文字通り駆けずり回っていたのです。

そんな状態だったので、夜お互いに顔を合わせてもにこりともできず。それどころか、相手にやってもらったことには気付かず、やってもらえなかったことにばかり目が行って腹を立てては文句の言い合い。自分がいかに大変かを主張するだけで、相手を気遣う余裕が全然ありませんでした。

そんなイライラ生活がだいぶ長く続いていた時に起こった入院騒動。私とムスメの入院中、どれだけ疲れていようと目いっぱい走り回って頑張ってくれたダーリンの姿を見直すことになり、素直に心から感謝することができました。そしておうちに戻ってこれた時には、我が家で家族と過ごせることの幸せを5ヶ月ぶりに思い出し、改めて噛みしめたのでした。

どこの、いつの、何のデータか知りませんが、障害を持つ子供が生まれた夫婦の8割強が離婚する、と聞かされたこともあり、ダーリンと喧嘩ばかりしていた時はそれが分かるような気がしていました。でもやっぱり、大変だからこそ夫婦で力を合わせていかないくちゃいけないんですよね。ムスメが一番嬉しそうな顔をするのも、パパとママが一緒に目の前にいて、お兄ちゃんに足をこちょこちょされていたりする時。家族皆の愛情がムスメを元気にさせているのだと思うのです。

明後日には6時間にも及ぶ大事な手術があり、今こうしている間もいきなり涙が出たりして、気がつけばかなりナーバスになっている私ですが、両親揃ってムスメを手術室へ見送り、そして無事に手術が終わった時には二人でしっかり迎えて抱きしめてあげなくちゃ。

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無事の報告を、後日きっとします!