ムスメ1歳9ヶ月
既にだいぶ時間の経ってしまった前回の手術について、遠のく記憶を手探りしつつ詳細を記録してきましたが、今日はちょっと近況報告を。
先週末、ブエノスへ術後検診のため行って来ました。
レントゲンを撮ってみたところ、ムスメの後頭部に入っているバネは順調に開きつつあるようで、来月21日に再度検診を受け、恐らくその二日後の23日に手術を受けてバネをはずすことになりそうです。
またしても麻酔&手術ですが、次回は2時間程度の簡単な処置で、術後も一般病棟で1泊したのち退院の予定なので、気持ち的にはだいぶ楽です。
そのムスメはと言えば、手術を受けてからのこの1ヶ月半の成長、変化には目を見張るものがありました。
まず人の話を聞く、理解する、答える、適切な行動を取る、という基本的なコミュニケーション能力が急激に向上し、ちゃんと対話ができるようになっただけでなく、反応もかなり素早くなりました。私が「おいで~」と声をかけた後、こちらに向かって突進して来るそのそのずり這いの早さにも相当の迫力があります。
身体能力もアップし、体の軸にも以前よりずっと力が入るようになって、片手だけ繋いだ状態で割と上手に歩くことができるようにもなりました。以前は両手繋ぎでもフラフラで本人も歩きたがらなかったのに、今は一人でバランスをとることを確実に覚えつつあり、「歩きたい」という欲求も強くなっていることが手に取るように分かります。
入院中がくんと減った体重も順調に取り戻しただけでなく、すごい勢いで増えています。栄養士さんが考えていた今年の目標体重は11キロでしたが、今週計ってみたところなんと12キロありました。1歳9ヶ月で身長が既に90センチもあるので、未だやや細めの女の子ではありますが、体つきがかなりしっかりしてきたし、お陰で抱っこするママの腰もぶっ壊れそうです。
こうした急激な変化を見ていると全てがただの自然な成長とは考えづらく、やはり手術前には脳が圧迫されていて、それが様々な形で影響していたのかなと思います。
そしてこの期間一番の変化はと言えば、「話す」ようになったこと!万歳!!
2週間ほど前からスピーキングバルブなるものを使い始めたのですが、これを気管カニューレの上に蓋のように取り付けると、カニューレから息は吸えても吐けなくなるため、息は気道を上がって口から吐き出されるようになり、声帯も震えて声が出るようになるわけです。
生後1年9ヶ月、遂に聞くことができたムスメの声は、むぎゅ~っと抱きしめてキスの嵐を振らせたくなるほど可愛らしいものでした。初めてムスメの笑い声を聞いた時には、「うちの子笑ってるわ・・・」と感動の涙がほろほろと流れたほど。
「ママ」って言われたらもう死んでもいい、ぐらいに思っていましたが、まことに悔しいことに既に「パパ」とは言うものの、「ママ」はまだ言えません。私の顔を見ると「ババ」という「パパ」と「ママ」の中間音を出すので、どうもそれが今のところの「ママ」のようです。ん~、あと一歩!やっぱり「パ」の音のほうが簡単なのかな。それとも超パパっ子だから??
さて、このパパっ子なムスメ。彼女に対して始終デレデレで、決して「NO」と言えないダーリンに対して、ものすご~く我がままで自己主張の強い別人格を見せるようにもなりました。それは私に対する天使のような態度とは対照的で、時にはダーリンの顔をバチ-ンとぶん殴る横暴ぶり。
それでも叱らないダーリンに私の方が切れる始末で、ダーリンには「ちゃんと躾けてよ!」と怒り、ムスメにも「ダメでしょ!!」と叱り、私ばっかり北風な役回りです。いつも私の母が言っていた通り、男ってズルイわ・・・母親って損な役回りね、とぼやきつつも、こんな普通の子育ての悩みみたいなことでため息をつけることが嬉しくもある今日この頃なのでした。
最近のムスメのお気に入りはドアの開閉。これってきっとハイハイを始めて自由に家の中を動き回れるようになったぐらいの月齢の子がはまるんでしょうね。ムスメはようやく今がその時。気がつくと全開にした冷蔵庫の扉の前でニコニコしながら座っています。そのせいもあってか、昨日からばっちり風邪を引いています[emoji:e-286]。
家中の扉を閉めてはガラス越しにドアの向こうからいたずらっ子な笑顔を見せますが、実はこれ結構危なくて、開閉時にバランスを崩し一人でどしんと後方へぶっ倒れることもしばしば。何せ我が家の床はほとんどがタイルで固く、しかもムスメの後頭部には金属製のバネが入っている状態なので、頭を打たれるとこちらの心臓が止まりそうになります。
音楽大好きは相変わらず。以前決してしようとしなかった、バチを持って何かを叩く、という動作にもトライし始め、今ではまだまだぎこちないものの、おもちゃの鉄琴や太鼓をちゃんと叩いて楽しめるようになりました。実はこの動作、肘を上手く使って意外と複雑な動作をしないといけないのですね。だから肘の動かないムスメには難しくてやりたがらなかったようですが、そんな課題にも自分で進んで取り組めるようになってきたのかな。
そしてムスメと楽器で遊んでいる中で久しぶりに縦笛を吹き、私もすっかりはまってしまいました。おもちゃのちゃちなプラスチックの縦笛で、ドの音のチューニングもかなり悪いけれど、以前長いことトロンボーンを吹いていた私としては「息を吹き込んで音楽を奏でる」という行為の素晴らしさを思い出したのです。
童謡に始まり映画音楽やクラシックの一部分を片っ端からコピーしては、目を閉じ体まで揺らして演奏するアブナイ母の陶酔振りにムスメも当初かなりひるんでいましたが、今では「私と遊んでよ」と怒って私の手から縦笛を取り上げるようになりました。ああ、いつかムスメに手がかからなくなったらクラリネットを吹いてみたいな、なんていうのが最近の母の密かな願望です。
最後に、ムスメとの寝る前読書タイムについて。最近のムスメはやや気難しく、本選びにも時間が掛かります。二人で寝転んで「これは?」と私が本を見せるのですが、「これはイヤ」とムスメが横にぽいっと投げて捨てるのです。そこで私が「じゃあこれは?」と別の本を見せると、一度横に放り投げた本を再度取り上げ「だったらこっちにして」と差出します。あんまりにもいつもこのパターンなので、本の内容うんぬんじゃなくて、「一度は拒否する」のがムスメのマイブームなのかもしれません。
今は、来年から通わせたいと思っている保育園探しの真っ最中。近所のこじんまりしたアットホームな保育園が理想的、しかも障害のある子供を受け入れた経験があれば尚良しと思って探し始めたところ、数日前にいい感じのところを一つ見つけ、近日中に面談を受けに行くことになりそうです。
あのちっちゃくて細くて寝たきりでお口にカテーテルをつけられていたムスメが保育園・・・!!!気がつけばムスメもすっかり大きくなっていたのでした。私のほうが子離れできなそう・・・。