お顔のはなし - アルゼンチン暮らしIROIRO

今日はお顔の話をちょっと。

と言うのも、ムスメのお顔の形は少々変わっています。おでこがぽこんと飛び出ていて、その下の眼窩から上唇ぐらいまでの顔の中心部が沈んでいます。なので、本来一番高い位置にあるはずの眉毛が一番落ちくぼんでいて、逆におめめが飛び出しています。下顎の方が上顎よりも出ているいわゆる反対咬合でもあります。

首のところに付いている青いのが気管カニューレ。

ムスメはここから呼吸をしています。

ちなみに、後頭部もぺったんこ。横から見るとソラマメみたいな形をしています。これら全てはアペール症候群の特徴だそうで、なるほど、ネットで検索してみるとムスメに似た子ども達が沢山いました。ダウン症の子供たちが皆よく似ているように、遺伝子疾患の場合それぞれに似通っているのですね。

この日は可愛い女の子服。

足を上げるのが最近のお気に入りポーズ。

初めてムスメを見た時はかなり衝撃的でしたが、それはやっぱり新生児だったからと言うのもあったかなと今は思います。何しろ新生児って肌の色も赤いし、目とかむくんでいるし、髪の毛は薄く、体毛は濃い。基本的には不細工なものだと思うんですが、そんなことないですか？？。「お母さんが妊娠中夢に描いていたような赤ちゃんを新生児に期待するな」とは、私が通っていた両親学級の先生のお言葉でしたが、なんともまさにその通り。まあムスメに関して言えば更にこのおでこ（！）でしたが。

悲しかったのはダーリンにも私にも似ていなかったこと。「おめめはあなた似ね」「唇は君似だよ」なんて会話は親となるもの誰しも待ち望んでいるのではないでしょうか。それが、二人には似ているところが全然ないと言うのはやっぱり寂しかったのです。

でも、今となってはこのムスメのユーモラスなお顔が可愛くて可愛くて可愛くて仕方がありません。本当に頭からごりごりと食べてしまいたくなるぐらい！やっぱりそれは我が子だから？あまりにも可愛くて、お顔が歪んでいることにすら気がつかなかったぐらいです。そう、ムスメのお顔は全体的に歪んでいたのでした・・・。

ある日ムスメに鏡を見せてみようと思い、抱っこして鏡の前に立ってみたところ・・・ん？？？なんかこの鏡歪んでる？？？いやいや、私の顔はいつも通りだ。じゃあなんでムスメのお顔だけこんなにぎゅ～んと歪んでいるのだ！？としばし唖然。驚いたことにムスメのお顔は、左側のおでこをべーんと思い切りはたかれたように、全体的に歪んでいるのでした。

そこで夜ダーリンにその話をしてみたところ、案の定「何言っているんだい。ちっとも歪んでなんていないじゃないか」と笑い飛ばされました。「鏡を通して見てみてっ」としつこく迫ったところ、渋々ムスメを抱いて鏡へ向かったダーリン。鏡の前に立ち、そのまま硬直してしまいました。もちろん、第一声は「この鏡歪んでるぞ！」・・・。

あまりにも見なれたムスメのお顔だったからか、正面から見たムスメのお顔はまったく歪んで見えなかったのに、不・思・議！！更に週末、遊びに来たルーカス（ダーリンの弟に）「ムスメのお顔って歪んでいると思う？」と尋ねてみたところ、「へ？ぜ～んぜん」とのお返事。「鏡見てみて！」と催促したところ、やっぱりルーカスも鏡の前で無言の驚愕。しばしの沈黙の後、言ったセリフは「この鏡歪んでるじゃん！」（笑）。

こうして見るとあんまり分からないと思うんですが・・・

この話をこの町に住む日本人の友人Kちゃんにしてみたところ、「うんうん、ムスメちゃんのお顔は歪んでいるよね」と非常にあっさりとしたコメントが。・・・ムスメよ、母は知らなかったぞ～！！これって親バカ、家族バカだったから気がつかなったってことなんでしょうか。

さて、９月上旬に予定されている額と眼窩の手術ですが、所要時間も５時間ほどになる大がかりなものになるそうです。額から眼窩までは脳外科医の仕事、頬から下は整形外科医の仕事になり、二人の執刀医が同時に手術室に入ることになるそうですが、現時点では最重要課題である額と眼窩以外どこまでの範囲が今回の手術の対象になるかはまだ分かりません。ちょうど昨日CTを撮ったので、その結果を二人の執刀医が検討し判断するそうです。

確実に行われることは、額の側面（こめかみ部分）の骨が早期癒着して脳を締め付ける危険があるので形を整えること。確かにムスメのこめかみは、孫悟空の輪をはめられたみたいにきゅ～っと絞られています。そして、眼窩に深さが足りないため、将来的に目の動きに支障が出てしまうので、眼窩を持ち上げること（と言うか、眼窩に深みを与えると言うか・・・ああ、なんだか直訳みたいな日本語になっていますね。笑）。これによって、落ちくぼんだ眉毛部分が通常の高さになるのだそうです。

そんな説明を聞いても、ほとんどブラックジャックの世界で私には想像もできませんし、実際したくない・・・。小さなムスメが再びたった一人で手術室に連れて行かれてしまうことを考えるだけで、正直身を切られるほど辛い。待機中の５時間、自分の精神状態がどうなってしまうかも怖い。でも、それがムスメのためなんだと心を鬼にして、長い手術時間をこの子と一緒に耐えなければ。

この手術で、顔面上部の歪みはそれなりに整うそうですが、同時に今のこのムスメのお顔も変わってしまうのだなぁ・・・と、寂しい限りです。眉毛がへこんでいても、額が歪んでいても、やっぱりこのお顔がムスメのオリジナルだし、私たちにとっては天使のように可愛らしいんですもの。今はせめて沢山写真を撮っておこうと思います。