アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

ムスメ10M

久しぶりにブログの画面を開きました。

この1カ月間ほど、かなり内向きな精神状態になっていて、ブログもメールも書けないでいました。原因は色々とありますが、ムスメの体調がずっと思わしくなかったのが一番。

冬の間、あれほど毎日吐いて吐いて大変だったのに、発熱や感染症などとは全く無縁だったムスメ。それもそのはず、とにかく家から一歩も外に出られない状態だったので、病気をもらうこともなかったのです。ところが、春が来て良い気候になり、大手術も終わり、嘔吐も止まったぐらいから、さまざまな検査健診で頻繁に病院へ行くようになった途端、事情は変わりました。

とにかく行った先々で必ず何かをもらってきてしまうのです。ムスメ本人の時もあれば、看病疲れでぐったりしている私やダーリンがもらってしまう時もありまずが、誰か一人が病気になると、家族中が倒れるまで病原菌が跋扈するので弱ります。

ちょうど1か月前にウイルス性の胃腸炎で入院したムスメは、退院時に別の何かを持って来てしまったようで、約3週間にわたり夜寝られない+ミルクが満足に飲めない状態が続いていました。当然、この間私もダーリンも全く寝られず・・・。心身ともに疲れ果てていた私は、先日ムスメの検査入院に付き合ったところ酷い風邪をこじらせ、そのウイルスが家族中を襲い、ムスメの胃腸でもばっちり悪さをしたお陰で再入院となりました・・・。

何かが原因でミルクがきちんと飲めないムスメの体はどんどん痩せて行くし、こうして家族中が疲労困憊して誰かが病気になり、また入院になると点滴が続いてムスメは更に痩せ、体力も落ちて、昨日まで出来ていたことができなくなったりする状態が辛くて辛くて。

更に今回もまた退院後に体調が戻らずに吐きまくるし、そんな可哀想なムスメを抱えて一日中一人で家にこもっていると、私の頭もそりゃあおかしなことになってしまいます。授乳中ずっと「吐きませんように・・・」と祈るような思いでいて、授乳後もなるべく動かさないようにこっちが緊張してしまうぐらいなのに、それでも吐かれてしまうと本当に絶望的な気持ちになってしまう。

「自分がどれだけ頑張ってもムスメを良い状態にしてあげられない」その無力感に打ちのめされる日々でした。そもそもこの10ヶ月間私がしてきたことって果たして「子育て」と呼ばれるものなんだろうか。これって「介護・看病」「闘病生活」であったとしても、「子育て」とは言えないんじゃないかと思ったりもしました。ムスメをちゃんと「育てて」あげているという実感があまりにもなくて・・・。

更に、この2ヶ月の間にいくつか新たに分かったこともあります。例えばムスメの動かない肘は、腕に必要な筋肉がないからではないかと指摘を受けました。もしもそれが事実であれば、たとえ肘の関節を手術等で動くようにしてあげたとしても、動力となるものがないため、生涯肘の曲げ伸ばしはできないだろうと。これを言われた日、私はあまりのショックに何もかも放棄したくなりました。恐らくムスメが生まれて以来、一番の打撃だったんじゃないかと・・・。

気管カニューレをつけているため聞こえないムスメの声についても、発話訓練がどうなっていくのか全く見当もつかなくて途方に暮れました。既に話し始めている子供がカニューレを付けた場合、カニューレを自分の手で塞ぎながら話すことができるようになるそうですが、ムスメの場合「話す」という行為すら知らないうちからカニューレを付けているため、どのようにその訓練をしていけばいいのか専門家に尋ねても答えてもらえなかったのです。

そして、このブログも、続けるかどうか考えてしまいました。そもそも誰のため、何のために書いているのか分からなくなってしまって。

元々は遠く離れている友人・家族たちへのご報告と、自分自身の記録のためにと思って書き始めましたが、ここに書ききれることなんて現実の5%にも満たない、とある日気が付いたのです。あまりにも色々な不安や苦労があり過ぎて、こんな私たちの実際の生活や気持ちなんて、似たような経験のない人と共有することなんてきっと無理に違いないとも思いました。

そして、弱音は吐きたくないと思っていたものの、この1ヶ月間本当に弱音だらけになっていた私。一体何を書いたらいいのかさっぱり分からなくなってしまったのです。「障害児のムスメと明るく元気に頑張る私たち♪」的ブログのつもりは全然なかったけれど、淡々と現状報告をしても現実の数パーセントしか伝わらない上、泣きごとばっかりになってしまうとなると、自分にとっても読んでくれる人にとってもフラストレーションしか残らないんじゃないかと思って。

でも、ある大切なお友達に「書いておいて良かったって思うことがありますよ。自分のために書くというスタンスで続けたら」と言っていただいて、今日久しぶりにこの画面を開きました。

1か月以上にわたって続いたムスメの体調不良も、先週末を境にようやく回復してきて、精神的に楽になったのもあります。おかげで家族全員本当に久しぶりに夜間ぐっすり眠ることができるようになり、それだけで家の中の雰囲気ががらっと変わりました。これまで嘔吐が心配でさせられなかった体操も、今日やっと再開することができ、また地道に一歩一歩前に進んで行けそうな気配です。

肘の問題や、気管カニューレを付けているため始められない発話訓練などの懸念事項は、今はもう考えないことにしました。「筋肉がないかもしれない。生涯動かないだろう」なんて、緻密な検査をしたわけでもなく、ムスメを良く知りもしない医者が5分程度ちゃらっと触っただけで診断できることじゃないと思ったし、自分が納得できるまで他の医者のセカンドオピニオンを聞き、必要な検査を全て受けて結果が出るまでは信じないと決めたのです。

10か月を迎えたムスメですが、相変わらずお座りはできません。それでもベビーチェアーに座って、両手を上手に使って遊べるようにはなりました。

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実は歯もまだ1本も生えていなくて、もしかしたら歯が生えない子なのかもしれないと心配していましたが、先日レントゲンを撮ってもらったところ、何本かの歯がちゃんとスタンバイしているのが分かってほっと胸をなでおろしました。

子供の成長は個人差が大きいとは聞きますが、ムスメの場合多くのことがだいぶ遅いようです。それでもこの10ヶ月間のこの子の苦労と闘いを考えると、今こうしてニコニコと機嫌良く笑っていてくれるだけでも幸せです。

ここ数日、ようやく少しずつ公園にも連れ出せるようになり、大きな木々を仰ぎ、沢山の鳥の声に夢中で耳を傾けているムスメの姿を見るたびに「ああ、ようやくここまでたどり着けたなぁ・・・」と感無量です。ママになって10カ月目にして初めてベビーカーを押して歩いた時、そしてムスメを抱いて公園を散歩した時の感動は、ある種の“達成感”でもありました。

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そして・・・度重なるムスメの入院でちっともゆっくり週末を過ごせなかったにも関わらず、文句ひとつ言わずにいてくれたセドリックにとっても癒されています。文句どころか「妹ちゃん妹ちゃん」とムスメを可愛がり、ベビーカーを押したがり、抱っこさせてとせがみ、ムスメがおもちゃを床に落とすたびに走って来て拾ってくれる優しいお兄ちゃんです。

疲れている私にマッサージをしてくれるのも、実はダーリンじゃなくてセドリックのほう(!)。毎週末会うたびに、また一回り大きくなっているセドリックの成長には、本当に目を見張るものがあります。いつの間にこんなに頼りになる”少年”になったんだろうと、ただただ驚くばかりです。きっと近い将来、私よりもずっと身長も高くなって、声変わりとかしちゃって、青年になってゆくんでしょうね。なんか凄いな~(当たり前のことだけど)。

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もうブログ書けないかも・・・なんて言いながら、久しぶりに書いてみたらすっかり長くなりました。最後にムスメの足ナメ写真をお届けします。

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肘が曲がらないため手の指をおしゃぶりできないムスメにとって、足なら自由自在に舐めることができるじゃん!という発見は、新大陸発見並みの感動があったものと思われます。おしゃぶり、なんて可愛いもんじゃなくて、もうガッツリくわえてますもんね。