アルゼンチン暮らしIROIRO

アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

真夜中大工

少し前まで、日曜大工ならぬ真夜中大工をしていました。

大工仕事の中身は、古道具屋でちょっと前に購入した丸テーブルの修繕。

 

これまで人生において丸テーブルを買ったことも使ったこともなかった私ですが、この家に越して以来、ここのキッチンには絶対に円卓が似合う!と直感で思い続けてきました。でも、木の家具ってここアルゼンチンでもとっても高い。木の家具の中では圧倒的に安いパイン材のなんてことない丸テーブルでも、新品で16000円以上するので、色々と物入りの今は手が出ないかもと思っていました。

 

ところが、引っ越してから気がついたのですが、我が家の2ブロック裏手に走っている大通り、実は古道具屋が多く立ち並ぶ”古道具屋街”だったのです。日本に居た頃から古道具屋大好き女だった私としては、その発見に狂気狂乱。ムスメを連れて散歩がてら覗きに行く毎日が始まりました。

 

古道具屋と言っても、そこはやっぱり先進国日本のそれとは大きく異なり、はっきり言って8割方は超がらくた。それでも、1件素晴らしいアンティーク家具を扱う店を発見。オーナーの男性も相当癖とこだわりのあるアンティーク好きで、ガラクタシリーズとは別に、綺麗に手入れされた年代物の家具をずらりと揃えていました。

 

でもここまで綺麗な家具だと、お値段もまた雲の上。と言うことで、そこで見つけた丸テーブルとは縁がなく、円卓探しの散策は続いたのでした。

 

そんなある日、我が家の近くのガラクタ屋でガラクタにまみれてキラリと輝く円卓を見つけました。否、見つけた時は埃まみれでちっとも輝いていなかったのですが、大きさは理想的だったし、何より足のデザインがとっても素敵で一目で魅せられたのです。

 

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これが足の部分。

綺麗なカーブのデザインがとっても気に入っています。

丸テーブルって4本足タイプもありますが、

あれは座る時に邪魔になるから私的にはNGでした。

 

しかもこのテーブル、トランパと呼ばれる仕掛けがあるタイプで、必要に応じて天板を開き、エクステンションを取り出して大きな楕円形のテーブルにすることができます。お値段を聞くと、なんと200ペソ(約3700円)!もうコレしかない!と購入を即決したのでした。

 

この円卓、足の材質とデザインこそ素敵でしたが、購入時には天板に白い合板が使われていました。私はどうしても木の天板が欲しかったので、早速ご近所の大工さんに来てもらって天板の張替えをお願いしたところ、600ペソ(約11000円)かかるとのこと。

 

ダーリンは200ペソで買ったテーブルに600ペソも掛けるのか、とかなり疑問だったようですが、ただの丸テーブルだって新品で買っても16000円ぐらいするのだし、購入額、修理費用と併せて15000円以内ならいいじゃないかと熱~く説得。めでたく板張替えの了解を取り付けたのでした。

 

さて、この修繕費600ペソ。実は文字通り天板の張替えだけのお値段で、テーブル全体のヤスリかけやニス塗りはナシ。と言うことで、もともと日曜大工が趣味だった私が久々の大工仕事(大袈裟)に取り掛かることとなりました。

 

ニスは大工さんに指定されたものを購入しましたが、これが結構プロ仕様で、3度塗りが基本。しかも1度塗りの時は全体の約40%の量のシンナーと混ぜる必要があり、2度塗り用ならシンナーは30%、3度塗り用なら10%という具合に調整しなければなりません。私が購入した円卓は、足の部分には既に前からのニスが残っていたため1度か2度塗りで、天板の部分だけは最低でも3度塗りでと言われたので、多少混乱しながらその都度適量のシンナーと混ぜて塗っていきました。

 

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これがニスを塗る前の状態。

 

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これが塗った後。惚れ惚れ!

 

とにかく日中時間が取れなかったので、大工仕事はもっぱら夜中。ムスメを寝かしつける時につい一緒に寝入ってしまう私は、夜中の12時ごろにはっと目が覚め、工房代わりにしているキッチン奥手にあるパティオのスペースに閉じこもって、眠い目をこすりながらヤスリかけ&ニス塗りをする日々でした。何しろニスがなかなか乾かないので、一晩ごとにできる作業に限りがあり、こんな怪しい夜中の作業も10日間ぐらい続きました。

 

そしてそして、念願の円卓がキッチンに登場~~~。

 

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イメージ通りのスペースになって大満足!

 

円卓の良いところって、角がないところ(って当たり前)。

角がないということは、どこにでも座れるということであり、隣の人との距離も自分達で好きに取れて、座れる人数にも幅が生まれるということ。そして、座る向きも360度気分で変えられるので、毎日目にする景色を変える自由が生まれるということでもあります。

 

これまでこうして熱っぽく語っても、大して興味感心のなかったダーリンとセドリックでしたが、角のあるテーブルに比べて無限の可能性があるこの円卓、実際に使い始めてみたら二人ともその心地良さに大満足でした。皆がムスメとぴったり横に並んで座りたがって大変!

 

そして、これまで使っていたパイン材の四角いテーブルはどこへ行ったかと言うと・・・

 

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まだ他の家具が全然足りてないんですが・・

ダンボール積んであるのが見えちゃうかな。

 

これまた引越し当時からイメージしていた通り、階段下のスペースに収まり、私の手仕事場がようやく少しだけ形になりました。

バンザーイ!!

 

やっぱり手仕事って楽しい。

ムスメが生まれてから時間がなくてできなかったことが沢山あったけれど、これからは保育園もあることだし、少しずつでも手で形を作っていく作業を始めていきたいな~と思う今日この頃なのでした。