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アルゼンチン在住ライターの日々の想いイロイロ

謹賀新年&2012年最後の月のこと ~お遊戯会~

明けましておめでとうございます

と、色々な友人からメッセージが届く中、ブエノスアイレスに住むアルゼンチン人のアーティスト(クラウンの大御所)から「que tengas un año lleno de sueños realizados」という素敵な言葉をもらい、とても気に入って早速あちこちで使わせてもらっています(笑)。これ、訳すと「沢山の夢が叶う一年になりますように」という感じ。

「実り多き一年」とか「飛躍の年」とか様々なご挨拶文がありますが、このシンプルで誰もが望んでいることをすっきりと言葉にした文章が、なんだか素直に胸に響いていいな~、と。

どうぞ皆様にとっても、想いや願い、そして沢山の夢が叶う良き年となりますように。

さて、過ぎし2012年最後の月について年末までにまとめようと思っていたのですが、予想以上にバタバタとあわただしかった上、ムスメがどこかからもらってきて妙なウイルスに母子共に感染し、体力的にかなりきつい師走を過ごすこととなってしまいました。

年末行事の始まりは18日のムスメのお遊戯会でしたが、その前日、ムスメの指に小さな水ぶくれを発見。体中調べてみたところ、足の裏にもいくつか発疹があることに気がつきました。その数日前には38度の熱も出していたので、もしや水疱瘡??と一瞬疑いましたが、その後熱が再びあがることもなく、本人もいたって元気そうだったので、お遊戯会にも無事参加でき、湿疹のことなどすっかり忘れてしまいました。

このお遊戯会、0歳児も出演するにも関わらず、なんと開演時間は夜の9時半。普段その時間に寝ているムスメが果してご機嫌でいてくれるかどうかが最大の焦点となりました。今年ムスメに当たった役は、宮廷道化師。当日夜8時半には衣装を着せて会場へ連れて行かなければならなかったので、大慌てで食事の支度をしたものの、ダーリンの帰宅も遅かったこと、姑が予想以上に早くやって来て思うように準備が進まなかったこともあり、結局誰もまともに食事をせず出発となりました。

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試着時にはもちろん、鏡の前でヒラヒラダンスでした(爆)!

当日の朝、自宅で衣装を試着した時はご機嫌だったムスメも、夜8時の外出時にはやや神妙な顔。大丈夫かな~と思っていましたが、会場に着いて、待っていてくれた付き添いのラウラの姿を見ると、ニコニコしながら去って行きました。ここで家族は一旦外に締め出しに。開場されたのは9時過ぎで、お芝居が始まったのは奇跡的に予定通りの9時半でした(アルゼンチンでは時間通りに始まることはまずない)。

通常は長い長い園長挨拶とかありますが、この日はそんなのもなく(ほっ)、突然賑やかな音楽が鳴り響き、色とりどりの衣装に身を包んだ子供達と先生が舞台に飛び出してきました

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約半数の子供達は眠かったり、観客やライトにびっくりしたりして泣いちゃってましたが、歩行器を使っているクラスメートのD君だけがとっても嬉しそうな表情で楽しんでいたのが印象的でした。ちなみに、右写真の右後方で黒いTシャツ&ズボン姿で黒子に徹しているのが園長先生のN。

物語は、中世ヨーロッパのとある国の王様が毎日とっても詰まらなく暮らしていて、誰か笑わせてくれないか~!というもの。そこでまず登場するのが、宮廷一面白可笑しい道化師達、と言うわけで、ここでいきなりムスメ登場となりました。えええっ、ママまだカメラと心の準備が出来てないんだけど・・・と慌ててバッグからカメラを取り出す不慣れな母。

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これ実はファイナルで全員舞台に出て挨拶している時の写真。ムスメが踊った場面は私のオンボロデジカメでビデオに撮ったので、写真がありませ~ん(涙)。ちなみに、右写真でムスメの後ろに立っているのが付き添いのラウラ。本当にこの1年間お世話になりました

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これ、舞台前に陣取る私をばっちり見つけたお顔です。お陰で退場したがらないムスメをラウラが抱っこして連れて行くことに・・・(笑)。

さて、他の道化師君たちと共に、ラウラに手を引かれていざムスメが舞台袖より登場!泣いて泣いて大変な騒ぎになるんじゃなかろうか、と最悪の事態まで想像していた私達の予想を思いっきり裏切ってくれたムスメは、笑顔で観客に手を振りながら現れ(!!)、教わった振り付けを多分他のどの子よりも忠実に踊り(ラウラが横でばっちり指示出してくれたから。笑)、そして踊り終わった後は本当に嬉しそうな顔で再び舞台袖へと去って行ったのでした・・・・・・・。

母、号泣、、、。

ムスメの成長は私にとって奇跡の連続です。言い換えれば、毎日奇跡を目にながらこの3年間生きてきました。でも、こんな日が来ようとは、、、ムスメが生まれた時はもう全く想像もできませんでした。色んなことが頭をよぎり、感無量。この感動は言葉に尽くせません・・・・・・。

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左は魔法使いたち、右は妖精たち。でも誰も王様を笑わせることが出来ません。

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そこでやってきたのが森の動物たち。右の子達、皆0才児です!!泣きもせずご機嫌なのは、どの子も夜寝るのが普段から遅いから。11時、12時就寝とかが普通のアルゼンチン、これでいいのかっ!!

とにかく可愛い子供達の姿に、親達はみんな舞台ぎりぎりに殺到してフラッシュの嵐。人気アーティストのライブかと思っちゃうほどの熱狂振りでした(こんな体験何年ぶり??)。舞台は1時間程度で終わり、その後は今年で保育園を卒業する子供達のビデオが上映されてお遊戯会は11時ごろ終了。帰途に着く頃にはさすがにムスメも疲れた顔していました。

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舞台終了後。ルーカス(ダーリンの弟)まで超満足気なのは、衣装の色がご贔屓のサッカーチームのチームカラーだったから(爆)。

終わってみればこの日の舞台、どの子も素敵な衣装を着て、本当に賑やかで楽しいものでした。きっと会場にいた全ての親御さんたちが、私と同じような幸せを噛み締めていたことでしょう。

裏話をすれば、最近個人的に仲良くしている園長先生のNからは、本番直前の週末「死にそう。全然準備が終わらない。アナタに会いに行って気晴らししたいわ・・」と息絶え絶えのメッセージが届き、衣装も当日の朝までもらえず、集合時間の連絡などもこちらから尋ねなければ教えてももらえないようなパニック状態だったため(こんなことも日本じゃ絶対に有り得ないでしょう・・・)、正直どうなっちゃうのかなぁと思っていました。

舞台としてのクオリティーなんてもう全然期待していなかっただけに、この素晴らしい発表会には余計びっくりさせられました。私にとっては何もかも初めてのことで比べようもありませんでしたが、セドリックが通っていたベルギーの保育園とアルゼンチンの小学校の行事を知っているダーリンもこの日のイベントを大絶賛していたので、やっぱり良い出来だったのでしょう。凄いな~N(園長先生)。3人の子供を抱えるシングルマザーで、よくもまああれだけの大仕事をやるものだと改めて彼女の力量に唸ってしまいました。

こうして我が家のお嬢様、初舞台を無事に終え、自宅に着いたのが真夜中近くの11時半ごろ。着替えてベッドに倒れこむや、直ぐに寝入ってしまいました。幸せな夜の出来事。安らかな顔をして、夢の中でも踊っていたのかな。

発表会の週の金曜日は、付き添いのラウラと最後の登園の日になりました。ラウラはR市からバスで1時間ほどかかる別の村に住んでいて、3歳になる娘さんもいる上、自分の村でも言語訓練士として患者さんを診ています。なので、ムスメの付き添いは週3日なら出来るけれど、それ以上は無理と言われてきました。

私達としては2013年からは週5日、クラスメートと同じ日数保育園に通わせてあげたいと希望しており、それはリハビリの訓練士さんやムスメの担当医からも言われていたことだったので、とてもとても残念ではありましたが、ラウラにはこれ以上お願いできないこととなってしまったのです。

保育園からラウラと共におうちに戻ってきたムスメを迎え、予め用意しておいたプレゼントをラウラに手渡した時に号泣したのはまたしても私・・・。ムスメが世界に向かって飛び出して行けたのも、このラウラがいてくれたから。ムスメの気管カニューレにも胃ろうにも臆することなく、この仕事を勇気を持って引き受けてくれたラウラは、たっぷりの愛情と揺ぎ無い責任感でこの1年間ムスメを守り、導いてくれました。

大好きなラウラがもう一緒に保育園に行けなくなっちゃったことをまだ知らないムスメ。幸い、次の付き添いさんも見つけることができましたが、私にとってもムスメにとっても大きな熊さんのような体と、人を暖かい気持ちにさせる素晴らしい笑顔を持ったラウラは、忘れることのできない人生の恩人となりました。

ありがとう、ラウラ。またきっと遊びに来てね。

〈続く〉